個人事業主が押さえておくべき青色申告の条件まとめ
青色申告は難しく、面倒臭いというイメージを持っている人は多いのではないでしょうか? 青色申告について、聞いたことはあるけどイメージがわかない人のために、青色申告について解説します。
1)青色申告とは?
青色申告とは、一定の水準で記帳を行い、その記帳にもとづいて正しい申告をすれば税金面で様々な有利な特典が受けられる制度です。青色申告は法人又は個人事業者どちらとも規定はありますが、今回は個人事業者の青色申告について解説します。
2)青色申告の対象者
青色申告をすることができる人は、不動産所得、事業所得、山林所得のある事業を行っている人です。したがって、サラリーマンの収入のみの人や不動産を売却したのみの人などは対象にはなりません。
3)青色申告の申請手続
新たに青色申告の申請をする人は、青色申告の承認を受けようとする年の3月15日までに、「青色申告承認申請書」を税務署に提出します。なお、新規開業した場合には、業務を開始した日から2ヶ月以内に提出が必要です。また、後ほど説明する「青色専従者給与の必要経費算入」の適用を受ける場合には、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出も必要となります。
したがって、平成28年から青色申告や専従者給与の適用を受けるという方は、平成28年3月15日までに、上記申請書、届出書の提出が必要ですので忘れないようにしましょう。
4)青色申告の必要書類
青色申告の記帳は貸借対照表と損益計算書を作成することが原則ですが、簡易な記帳による方法も認められています。この場合は、後述の5(1)の特別控除額が異なってきます。
平成26年からすべての白色申告の方に記帳や帳簿の保存が義務付けられました。簡易な記帳であれば青色申告と白色申告の手間はさほど変わりませんので、青色申告の申請をすることをおすすめします。なお、書類は原則として7年間の保存が必要です。
5)青色申告の特典
青色申告の主な特典は下記の通りです。
1.青色申告特別控除
青色申告特別控除は、その事業の状況に応じて65万円又は10万円を所得金額から控除することができます。
65万円を控除できるのは、不動産所得又は事業所得の事業者のうち、複式簿記によって、貸借対照表及び損益計算書を確定申告期限内に提出している事業者に限られます。
上記以外の事業者でも、現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳のような帳簿を備え付けて簡易な記帳をすれば10万円の控除が認められます。
イメージとしては、貸借対照表が作成できれば65万円の控除ができると考えてよいでしょう。ただし、不動産所得のうち事業的規模(※)でない事業者は65万円控除を選択することはできません。
事業的規模とは一般的に「5棟10室以上の貸付け」をいいます。
2.青色専従者給与の必要経費算入
生計を一にしている配偶者や親族が事業を手伝っている場合に、その配偶者や親族に給与を支払っても、原則として経費になりませんが、青色申告をしている場合には、労務の対価として適正な金額を経費にすることができます。
ただし、上記(1)と同様に、不動産所得のうち事業的規模でない事業者は青色専従者給与を適用することはできません。
青色専従者は年末に15歳以上で、原則として6ヶ月以上事業に従事している必要があります。また給与額は、特に定めはありませんが、労働状況に比してあまりに高いと否認される可能性がありますので、適正な金額を設定しましょう。
なお、青色事業専従者には、配偶者控除や扶養控除は適用できませんので注意が必要です。
3.純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)があった場合に、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。また前年も青色申告を行っている場合には、その損失を前年に繰戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできます。
6)まとめ
いかがでしたでしょうか?65万円控除は難しいという方でも、10万円控除でしたら白色申告とさほど変わらない手間で、青色申告の節税効果を得られることができます。freeeを使って青色申告をすることを検討してはいかがでしょうか。