法人成りによるメリットをわかりやすく解説
確定申告といえば個人事業主が行うものだと思いがちですが、法人に関しても確定申告ががあります。今回は、法人の確定申告のメリットを法人成りしようとしている方へ向けて紹介していきます。
1)法人にすることで退職金が必要経費になる
個人事業主の場合は、個人事業主、もしくは事業専従者に対する退職金は必要経費にはなりません(一般の従業員に対して支払ったものは必要経費になります)。
法人の場合、役員もしくは従業員が退職したときは、適正な額であれば必要経費となります。退職金ですので、その金額も大きく、節税の効果は大きいです。退職金による節税は法人にしかできないことなのです。
また、受け取る側の話ですが、退職金は毎月の給与と比べてかなり税金面で優遇されています。退職金を支給することにより、支給した法人にも、受けとった個人にもメリットがあり、法人にしたならばぜひ利用したい制度です。
2)生命保険料が必要経費になる
所得税には「生命保険料控除」という制度があります。この控除は年末調整や個人事業主の確定申告で適用されますが、この制度は「法人ならではの保険料を使った節税対策」に比べれば見劣りします。個人事業主の場合、どれだけ保険料を支払ったとしても、最大12万円の控除しか受けることができないからです。
では法人の場合はどうでしょうか? 法人が契約者となって被保険者を経営者、受取人を法人とする場合を考えてみると、支払った保険料の全額もしくは1/2が経費となるのです。この効果は保険料が高額になればなるほど効果があります。
ただし、保険料の受取時について注意すべき点があります。保険が適用された場合、受取人は法人になっておりますので、法人にお金が入ってきます。このときの受取金は売上の一種となり、所得計算を構成します。
金額が高額なため、そのままにしておくと法人税が跳ね上がります。そこで受けとった保険料分だけ経営者等に退職金や死亡保険金として支払う必要が出てきます。この支払は経費となるので、収支の差し引きでバランスがとれることになるのです。
3)赤字を繰り越せる年数が個人事業主と比べて長い
個人事業主にかかる所得税と法人にかかる法人税を青色申告すると、「欠損金の繰越控除」という制度が使えます。「欠損金の繰越控除」とは、簡単にいうと赤字の金額を次年度に繰り越すことにより、次年度の税金を安くすることができる制度です。
つまり、初年度に100万円の赤字を出し、次年度に30万円の黒字を出したとすると、30万円-100万円=0円となり、所得税及び法人税は0円となります。そして残りの赤字70万円は繰り越されることになります。
この制度は法人と個人で繰越期間が違います。現行制度では個人は3年間が限度、法人は9年間が限度であり、法人のほうが有利な制度となっています。経済状況が安定しない昨今、この制度は非常に重要な制度であり繰越期間が長いことはかなりのメリットになるでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか? 法人にすることによる主なメリットを書いてきましたが、法人するか否かは、メリットだけでなく、デメリットも考えて、バランスをみて決断しなければなりません。法人成りを検討する際は考慮に入れておく必要があるでしょう。