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2016年02月25日(木)

通院のタクシー代は医療費控除の対象になるのか? | 確定申告の基礎知識

経営ハッカー編集部
通院のタクシー代は医療費控除の対象になるのか? | 確定申告の基礎知識

taxi 確定申告の中でも利用することが多いと言われている医療費控除。医療費控除の対象となる医療費は意外に細かく定義されていて、しっかりと理解されている方が少ないです。そこで今回は医療費控除の対象になる意外なものを含めて、医療費控除の対象となる医療費について確認してみましょう。

1)医療費控除の対象となる医療費

所得税法上、医療費控除の対象となる医療費の要件は以下のように定義されています。

(1)納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること (2)その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること

これは確定申告の期間内で、自身や扶養している家族のために支払った医療費が医療費控除の対象となることを意味しています。ポイントは「医療費」の意味です。ここで使用されている「医療費」とは、病気やケガを治すために要する費用を指していて、病気の予防や健康増進のための費用は含まれませんので注意してください。

2)通院のタクシー代も医療費控除の対象となるのか

医療費控除の対象となる医療費には以下のようなものがあります。

・医師に支払った診療や治療に関する費用 ・治療や療養に必要な医薬品の購入 ・入院中に提供される病院の食事代 ・通院や入院する際の病院までの交通費

意外と見落としがちな項目が、通院や入院する際の病院までの交通費です。電車やバスなどの公共交通機関を利用した場合は、病院までの実費が医療費控除の対象となります。

それでは、タクシー代は医療費控除の対象になるのでしょうか。タクシーで通院せざるを得ない合理的な事情がない場合には、タクシーでの通院は医療費控除の交通費に該当しません。例えば、電車やバスなどが止まっている夜間に診察を受ける場合などがこの場合に当てはまります。

確定申告の際に医療費控除の対象となる交通費を申告するためには「医療費の明細書」に記載しなければなりません。「医療費の明細書」は支払った病院や薬局ごとに医療費の総額を記載していきますが、記載した病院欄のすぐ下に交通費を記載することが可能です。公共交通機関を利用した場合には基本的に領収書がありませんので、メモ書きなどで利用した交通機関、金額、通院回数を集計する必要があります。

タクシーを利用したときには必ず領収書を発行してもらい、その他の医療費の領収書と合わせて提出または税法の定める期間保管しておかなければなりません。

3)薬局などで購入したかぜ薬も医療費控除の対象

医療費控除の対象となる医療費は病院での治療費や処方箋で購入した薬だけではありません。通院の事実がなくても、病気やケガの治療のために購入した医薬品は基本的に医療費控除の対象となります。例えば、以下のようなケースが医療費控除の対象となります。

・かぜをひいたので治療のために市販のかぜ薬を購入した ・包丁で指を切ったので絆創膏を購入した ・花粉症の症状を抑えるために医薬品を購入した

上記の例にあるように、病気やケガを治すために購入した医薬品は基本的に医療費控除の対象となります。しかし、ここでいう「医薬品」とは、薬事法に定める効能や効果が認められている薬品のことを指しますので、薬局などで購入する絆創膏や薬でも、「医薬部外品」などは医療費控除の対象となりませんので注意が必要です。

また、花粉症による鼻炎などの症状を抑えるために購入した医薬品は医療費控除の対象となりますが、花粉症予防のために購入したマスクなどは治療のための支出ではありませんので、医療費控除の対象とはなりません。

医療費控除の申告を行う際には、薬局等で購入した領収書やレシートが必要になります。明細が表示されないレシートなどでは何をどのような目的で購入したのかが不明確な場合もありますので、レシートの裏に薬品名と目的などをメモ書きしておくと、確定申告の際に簡単に集計することが可能です。

また、医療費控除の対象とならない商品も一緒に購入したときには、医療費控除の対象となる明細にマーカーや丸囲みなどをして控除対象の医療費を特定できるようにしておきましょう。

4)まとめ

多くの方に当てはまるケースとして上記の例をご紹介しましたが、上記以外にも医療費として認められるものは多数存在します。医療費控除の対象となるかどうかの判断基準は病気やケガを治すために支払ったものかどうかです。

今後、確定申告で医療費控除の申請をされる際には医療費の集計漏れがないか、上記判断基準にもとづき確認してみてください。どうしても判断のつきにくい個別の案件については最寄りの税務署や税理士に相談されることをお勧めします。

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