経営者も不動産で将来のために資産運用・資産形成できます
最近、一般的になっている不動産投資。これからの高齢化社会には自分で今から責任をもって資産形成をしなくてはならない時代になりました。
資産として運用ができることは不動産の大きな特長です。不動産運用には、大きく「売却」と「家賃収入」の2つが挙げられます。また、家賃収入の場合、不動産所得の総合課税という確定申告の手法によって節税が図れるのが最大のメリットです。
借り手がつく物件を購入するのが大前提
不動産の価値は土地と建物に分けられ、土地は一生物ですが、建物は古くなるにつれて資産価値が少なくなるため、マンションの場合、築30~40年を超えてくると売却の難しくなる物件が多いでしょう。
しかし、実質的な鉄筋コンクリートの建物の耐久年数は60年とも100年とも言われます。そのため、古くなって売却がしづらくなっても、鉄筋コンクリートのマンションはその後長期に渡って貸家として家賃収入を得る可能性が広がります。立地・環境、交通・生活利便性、間取り、家賃ほか借り手が持つニーズを探ることは大切です。空室続きでは、何のメリットもないのです。
不動産所得のメリットは?
①損益通算(そんえきつうさん)について
損益通算とは、2種類以上の所得がある場合に、一定の順序にしたがって、その黒字や赤字の差引計算を行うというものです。
②不動産所得の特例
不動産所得の赤字のうち、土地を取得するための借入金の支払利子部分は、損益通算ができません。ただし、建物の取得にかかわる借入金利子は、損益通算ができます。
③青色事業専従者給与の必要経費計上
家族従業員については原則必要経費になりませんが、以下の場合には経費として認められます。
不動産オーナーと生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上に支払った給与であること。その事業に専従していること。「青色事業専従者給与に関する届出書」に支払った給与の額を記載して税務署に提出していること。労務の対価として適正な金額であることです。ただし、事業所得のほうで奥様を専従者控除に入れている方は、ダブルで利用はできません。
④青色申告特別控除
所得金額から最高65万円または10万円が控除される制度ですが、こちらも事業所得で利用している場合はダブルで利用はできません。一般的なマンション経営のかたは10万円の青色申告特別控除となります。
青色申告の適用を受けるためには、その年の3月15日までに所轄税務署に「青色申告の承認申請書」を提出し、さらに法定の帳簿書類を備え付けて取引を記録し、かつ一定期間(原則7年間)保存することが必要です。
では、具体的にどのように確定申告するのか?
個人が不動産を貸して家賃を受け取る場合、その不動産の賃貸にかかわる利益は「不動産所得」となります。不動産所得は、不動産を貸して得た収入から必要経費を差し引いた額となります。
不動産所得の金額=総収入金額-必要経費
上記で算出した不動産所得を、給与所得や事業所得などの他の所得と合算して課税総所得額を計算し、それに所得税率を乗じたものが所得税となります。
所得税額=(不動産所得+給与所得や事業所得などその他の所得)×所得税率
ここで、不動産所得がマイナスであれば事業所得などのプラスから相殺でき、所得を圧縮できるわけです。不動産所得は、初年度は不動産取得税もかかり広告も出すので赤字になることが大半を占めます。
総収入金額
総収入金額には、通常の家賃のほかに次のような収入も含まれます。名義書換料、承諾料、頭金、礼金などの名目で受けとるもの。敷金や保証金などのうち、契約当初から返還の必要ないものや、その後に返還を要しなくなったものや共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代なども収入に含まれます。
必要経費
必要経費とは不動産収入を得るために必要な費用をいい、例えば次のようなものがあります。
固定資産税、不動産取得税、登録免許税。損害保険料。仲介手数料、広告費等入居者を募集するための費用。減価償却費。管理費、修繕費。不動産所得が生じる土地建物を取得するための借入金の利子(賃貸期間中)。家事経費と業務上必要な経費にまたがる接待費・交際費・水道光熱費・電話代、地代家賃等のうち不動産貸付業務の遂行上必要で、家事経費と線引きできる場合の金額。
一の計画に基づいて同一の資産に対して行われる一の修理について次の金額のいずれかに該当する金額
- 年20万円未満の改良費
- 3年以内の期間を周期として行われることが既往の実績などからみて明らかである場合の金額
修繕費か資本的支出かわからない金額で、一の計画に基づいて同一の資産に対して行われる一の修理について次の金額のいずれかに該当する金額
- 60万円未満である場合
- その建物等の資産の前年末の取得価額のおおむね10%未満の金額
このように、アパートやマンションから一定の家賃がある場合は、その規模にかかわらず確定申告が必要です。貸付のために発生した支出が必要経費なのかを確認した上で、総収入額を算出し手続きを行いましょう。
経営者は相続対策も必要。不動産は相続税にも有効
相続になったときの建物評価は、実際にかかった建築費用ではなく、固定資産税評価額で評価をされます。固定資産税評価額とは、市町村の税務課(東京都23区では都税事務所)にある固定資産課税台帳に登録してある土地や建物の評価額のことです。固定資産税評価額は国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決定します。
ちなみに土地は、国税庁が定めた路線価にもとづいて評価をし、路線価の定めがない地域は倍率方式により評価します。
一般的には、評価額は土地については公示価格の70%、建物については建築費の50~70%とされていますが、現実の評価はこの割合以下になることが多く、建築費の半分以下になることが多いといえます。
また、更に建物を賃貸にしていれば、貸家となり、借家人が存在する場合の家屋の評価額は、賃借人に一定の権利があるものと考えられ、借家権割合30%を引くようにします。
そのため、固定資産税評価額の70%として評価されることになります。普通に現金で持っていればそのまま課税されるものを生前は賃貸収入を得られ、事業所得の付随収入を得られ、なくなった後の評価も半分以下の評価額の税金で済み、その後の承継者にも賃貸収入をプレゼントすることができるのがメリットです。