ふるさと納税で節税するための解説
ふるさと納税をご存知ですか?
ふるさと納税制度。ニュースで聞いたことはあるけれど、実は詳しくは知らない…という方も多いのではないでしょうか? 今回は、ふるさと納税による節税について紹介しますので、ぜひ節税の参考にしてください。
1)ふるさと納税について
はじめに、ふるさと納税制度とは、任意で選んだ地方自治体へ寄附をする制度です。「納税」という言葉が付いていますが、正確に言うと寄付金となり、「ふるさと寄附金」とも呼ばれています。
ふるさと納税制度は、都市と地方の税収格差をならす目的で、2008年に公布されました。生まれ故郷に貢献できるだけでなく、自分が応援したい地方自治体を選ぶことができます。寄付した人に対しては、地方の特産品などのお礼が送られる場合があります。そのお礼目当てで、ふるさと納税を活用する人も多いようです。
地方自治体へ寄付をした場合、その寄付金の金額から2000円を引いた額が、所得税と住民税から「控除」されます。ここで気をつけたいのは、自己負担金額をのぞいた全額が「還付金」として振り込まれるわけではありません。
ふるさと納税は所得控除なので、医療費控除や扶養控除と同じように、所得からふるさと納税の一定額を控除することができます。所得から差し引くことで、課所得金額が少なくなるため、所得税等の節税につながります。全額控除される寄附金額には、収入や家族構成等に応じて一定の上限がありますので、確認するようにしましょう。
<参考> 総務省ふるさと納税ポータルサイト
2)ふるさと納税のメリット
ふるさと納税のメリットは、まず何と言っても返礼の特産品や感謝状をもらえる場合があることです。寄付をすることで、地方グルメに舌鼓を打てるのは嬉しいメリットですね。
次に、ふるさと納税として寄附した金額について、確定申告すると寄附した金額に近い税金が控除されます。寄付をする人の給与所得額と家族構成、その他の税金控除により、ふるさと納税分の控除金額が変わります。
そして、寄附金の使途を選択できる自治体では、寄付をする人の想いが地方自治に反映されるということです。たとえば岩手県では、ふるさと納税を震災遺児・孤児のための給付金事業へ使うように指定することができます。
3)ふるさと納税のデメリット
ふるさと納税のデメリットを挙げると、基本的には確定申告をする必要があるため、多少手間がかかるということです。
そして2,000円は確実に個人負担となります。ふるさと納税が2,000円以下の場合は寄付金額が控除されないため、考え方次第では、デメリットとも言えなくもありません。
4)ふるさと納税のやり方
控除を受けるためには、原則としてふるさと納税を行った翌年に確定申告を行う必要があります。
計算式は次の通りです。
- 所得税からの控除 = (ふるさと納税額-2,000円)×「所得税の税率」
- 住民税からの控除(基本分) = (ふるさと納税額-2,000円)×10% 住民税からの控除(基本分)は、上記の計算式となります。控除の対象となるふるさと納税額は、総所得金額等の30%が上限です。
- 住民税からの控除(特例分) = (ふるさと納税額-2,000円)×(100%-10%(基本分)-所得税の税率) 住民税からの控除の特例分は、この特例分が住民税所得割額の2割を超えない場合は、特例の計算式で決まります。この特例控除額の上限は、約1割から約2割に拡充されました。
2015年4月1日より、サラリーマンやパートタイマーなどの給与所得者等の方は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内である場合に限り、各自治体に申請することで確定申告が不要になる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が始まりました。この制度は、「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」という書類を、寄附した自治体へ提出(郵送)することで、住民税の納税額から控除されます。
つまり、確定申告不要といっても何もしなくていいわけではなく、寄附金税額控除に係る申告特例申請書を寄附した自治体へ提出する必要があります。 実質的には、今収めている県民税・市民税の一部を故郷や任意の自治体へ移転するということになります。
5)確定申告する人のふるさと納税
確定申告の必要がある人は、次の書類を用意するようにしましょう。
- 受領証明書
- 源泉徴収票
- 確定申告書
特にふるさと納税の受領証明書は、その自治体に寄付をしたという事実を証明となるものです。確定申告でふるさと納税の控除を受けたい人は、決して捨てないように気をつけましょう
<参考> ふるさと納税をした人は要注意? 確定申告の注意点 ふるさと納税はクレジットカードでも可能 | 使えるサービスと注意点
まとめ
ふるさと納税は、単に地方へ寄付をするだけでなく、節税効果があり、地方の美味しい食料品や旅行クーポンなどを楽しむことができます。聞いたことはあったけれど、詳しくは知らなかった人も、これを機会に生まれ故郷や自分の好きな地方自治体へふるさと納税してみてもいいかもしれません。
ちなみに、法人が地方自治体に寄付を行う「企業版のふるさと納税制度」が、2016年8月をめどにスタートするようです。今後は、個人・法人問わず、寄付が行えるようになります。企業版のふるさと納税制度には、個人のように、経済的な見返りが提供されることはありませんが、企業には地域貢献やイメージアップという利点があります。
また、企業版のふるさと納税制度では、寄付金の約6割分の税負担が軽くなります。従来の3割税負担の軽減に加えて、さらに3割分人住民税や法人税などから税額控除できるものです。あわせて知っておくと、今後役立つかもしれません。