罰金200万円!知らないとマズいマイナンバー制度の罰則を税理士が解説
年金に関する情報漏洩が世間を賑やかしている今日この頃。今年もおよそ半年が過ぎようしていますが、年明けごろから、某有名女優さんと、制度の広報用ロゴマークのキャラクターであるマイナちゃんがCMをしている「マイナンバー」制度。いったいどのように私たちの生活にかかわってくるのか、また、罰則はあるのかなどを解説します。
マイナンバー制度の概要
1. マイナンバーとは
この制度は、各種証明書が1カ所で受け取れる、各個人の所得が正確に把握できる、保険給付などが真に必要な方に届けられるなど、住民情報を今まで以上に正確に、そして、効率的に活用することにより、行政事務をさらに効率化し、国民の公平・公正な社会を実現する事を目的としています。
2. マイナンバーは唯一無二
個人識別のための12桁の番号が個人1人に1つ、法人識別のための13桁の番号が1社に1つ割り振られますが、その番号の総称を「マイナンバー」と呼びます。この番号は、一生涯変わる事がなく、また、悪用の恐れがあるなどの特別な事情がない限り、変更も出来ません。
人が亡くなった場合や法人が閉鎖した場合、その番号は再利用されず、いわば永久欠番となります。そして、本人以外の勝手な利用禁止を法律で厳格に定め、厳しい罰則もありますので、大事に取り扱って下さい。
3. 個人番号の取得
平成27年10月以降、住民票の住所地の区市町村より、マイナンバーに関する書類が、世帯ごとに簡易書留で郵送されます。
(同封書類) 1) マイナンバー通知カード 2) 個人番号カード申請書と返信用封筒 3) 証明書
平成28年以降、各種行政窓口で手続きを行う場合、個人番号確認と本人確認とを求められますが、2)の個人番号カードは顔写真付きなので(カード申請時に写真添付の予定)、このカードのみで確認作業が完了することができます。
法人番号も国税庁から通知されますが、法人番号は個人の番号と違い、国税庁の専用サイトで公表されることから、誰でも自由に利用でき、利用制限もありません。
4. マイナンバーをどのような場面で使用するのか?
まず、平成28年以降の社会保障・災害対策・税の3分野での利用からスタートします。
身近な例として、平成28年以降に交付を受ける給与所得の源泉徴収票、同年以降に提出する各種税務申告書・申請書などの税務関係手続きには、該当書類に個人番号や法人番号を記載する必要があります。健康保険や年金の加入・脱退などの社会保障手続きにも番号を求められます。
会社にお勤めの方は、ご自身と扶養家族の個人番号を会社に提示することになりますが、会社側には厳格に取り扱うことが求められます。
マイナンバーを流出させてしまった場合の罰則は?
まず、個人番号という情報の管理を、自らしっかりと行うことが必要です。法律上、家族であっても勝手に利用はできないのため、家のどこに保管するかなど,これを機にご家族で話し合われてはいかがでしょうか。
源泉徴収票の交付など会社が個人番号を利用する場合、その利用目的を本人に告げ、さらに、本人確認が義務付けられています。よって、番号の収集や保管、廃棄などの取り扱いについて会社を上げて今から準備、運用が必要でしょう。
個人番号の不正利用などがあった場合、下記のような法定刑があります。
1. 正当な理由なく特定個人情報ファイルを提供した場合
4年以下の懲役か200万円以下の罰金又はこれらの併科
2. 不正利益目的で個人番号を提供・盗用・漏えいした場合
3年以下の懲役か150万円以下の罰金又はこれらの併科
3. 人をあざむく、暴行、施設への侵入など不正行為で個人番号を取得した場合
3年以下の懲役又は150万円以下の罰金
4. 偽りなどの不正手段により個人番号カードを取得した場合
6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金
この他、国や地方公共団体,会社,個人事業主など個人番号を取り扱う機関が情報漏えいした場合や,特定個人情報保護委員会の検査拒否、虚偽申告などの場合にも罰則があります。マイナンバーについての罰則は、個人情報保護法など他の関係法律の罰則よりも厳しいものとなっています。
まとめ
私たちの生活に密着しているマイナンバー制度ですが、適切に利用・管理されるのはもちろんのこと、罰則も含めた知識と情報を私たちも合わせ持つ必要があるのではないでしょうか。
この記事は、下谷直 税理士事務所 下谷 直 様に寄稿いただきました。 経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから