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2015年07月10日(金)

見積書から領収書まで,ややこしい6つの〇〇書の違いと役割を解説

経営ハッカー編集部
見積書から領収書まで,ややこしい6つの〇〇書の違いと役割を解説

見積書 商品の販売やサービスの提供をする際、様々な過程と書類を重ね、契約と納品、入金に至ります。今回はその過程と書類について、会計・税務・内部統制の観点から説明します。

一般に、物品販売やサービス提供の流れは以下です。

  1. 買い手:商品やサービスについて問い合わせ
  2. 売り手:見積書の発行
  3. 買い手:発注、発注書の発行
  4. 売り手:受注、請書(うけしょ)や契約書の発行
  5. 売り手:商品の発送やサービスの提供
  6. 買い手:検収、受領書発行
  7. 売り手:請求書発行
  8. 買い手:支払
  9. 売り手:入金処理、領収書発行

順番に見ていきましょう。

1) 問い合わせから見積もりまで

・買い手 商品やサービスに興味を持った場合、その詳細を売り手に問い合わせます。電話や電子メールで情報を要請します。この時、発行する書面はないものと考えられます。

・売り手 問い合わせを受けたら、買い手の条件に合わせて詳細説明や、見積書発行をします。見積書には、具体的な商品・サービスの名称や、納期、金額、受け渡し場所、見積書の有効期限を記載します。 例外を除き、見積書に法的拘束力はありません。また、見積書によって会計・税務の処理は発生しません。内部統制上のポイントとしては、営業マンが自社に不利な見積書を勝手に発行できないよう、上司の承認を要する等のルール作りをすることです

2) 発注書から請求まで

・買い手 買う意思が固まったら発注します。発注する旨を記載した発注書を発行するケースもあります。 ここでも、適切な承認を得た上で発注する仕組みを作ることが、内部統制上重要になります。

参考リンク: 発注書の無料テンプレート

・売り手 注文を受けたら、注文請書や契約書などを発行し、契約が成立したことを表明します。この時から契約を履行する義務が発生します。契約者、履行時期、履行場所、対象物、金額、回収条件、遅延利息、万が一の際の責任の所在などを記載します。ここで契約内容が曖昧になっていると、最悪の場合は裁判になりかねません。弁護士や司法書士、社内の法務部によるリーガルチェックを行うといいでしょう。

3) 契約履行から検収まで

・売り手 商品やサービスを契約に沿って提供します。契約に沿ったものでないと、買い手から受領や支払の拒否、場合によっては損害賠償請求を受けかねません。

契約に沿っているかの検証方法としては、担当者と管理者による出荷前のダブルチェックをおこなうことです。見積書と納品書、納品書と実物をそれぞれ別の人間によって確認します。内部統制上からも、一人で完結するとは商品の流用や取引先との癒着など不正の温床ともなります。

また会計上、売上基準は幾つかありますが、出荷基準をとっている場合はこの出荷(運送会社の受領書等)をもって売上を計上することになります。

・買い手 商品やサービスの提供を受けたら検収、つまり条件を満たしているか、商品に傷がないか、個数は正しいか、品質は充分かなどをチェックします。役務提供であれば、成果が契約や事前の想定と合っているかも重要です。

場合によっては、検収が正常に終了したことを表す検収受領書などを発行します。売り手の売上基準が検収基準ならば、この書面が売上の根拠になります。

参考リンク: 受領書の無料テンプレート

4) 請求から入金まで

・売り手 検収終了後、買い手に代金を請求します。金額や支払期限、振込口座、手数料負担等を記載した請求書を発行し、買い手に送付します。発送時に請求書を同梱する場合もあります。

請求書送付前に、金額が間違いないか契約書や請書と照合します。上長の承認や印鑑、サインをもって初めて効力を持つような業務フローにすることが大切です。

請求書が売掛債権を保有していることの証拠にもなりますので、大切に保管します。

・買い手 請求書が届いたら、内容に誤りがないかを確認の上、支払期限に沿って現金、銀行振込、小切手、手形などで支払います。 誤送金や不正送金がないように、支払処理時に請求書と照合したり、上司の承認をもって送金したりすることを必須とします。

・売り手 入金時には金額が正しいか、期限内であったかを確認します。入金がない場合は、遅延理由の確認や催促、遅延金請求の有無や、場合によって督促状や法的手段を検討します。

現金を受領した場合は、領収書を発行して買い手に渡すとともに、領収書の控えを保管します。領収書は連番で管理し、現金の授受時に横領が起きない仕組みが必要です。

参考リンク: 領収書の無料テンプレート

5) まとめ

販売に係る一連の書類は、契約の根拠となり、会計処理や税務の根拠となり、債権の証拠ともなります。内容のダブルチェックを行い、適切な承認後に発行し、まとめて保管しておく必要がありますのでご注意ください。


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