2015年07月13日(月)0ブックマーク

"夫婦控除"は本当に夫婦の働き方を変えるの?配偶者控除廃止の影響とは

経営ハッカー編集部

夫婦控除

現在、政府は「配偶者控除」に代えて、夫婦を対象とした新たな控除、通称「夫婦控除」の導入を検討しています。この改正により、夫婦の働き方は本当に変わるのでしょうか?

1)現在の配偶者控除とは

現在、所得税法は、配偶者控除という控除を認めています。その適用を受けるためには、下記の4つの要件を満たしていなければなりません。

  • 夫婦が法律上の婚姻関係にあること
  • 対象となる配偶者と生計を一にしていること
  • 配偶者の給与収入が103万円以下であること
  • 青色申告者の事業に従事する者としてその年に給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者に該当しないこと

少しむずかしいので分かりやすく言い換えると、以下のようになります。

  • 婚姻届を提出した夫婦であること
  • 夫婦で家計を分けたりせず、同じ生計のもとで暮らしていること
  • 配偶者の給与収入が103万円以下であること ※詳しい収入の計算はこちらの4)現行の配偶者控除額は?をご確認ください
  • 配偶者が親族等の営む個人事業を手伝って給与をもらっていないこと

配偶者が上記要件を満たしていれば、その配偶者が70歳未満の場合は38万円、70歳以上の場合は48万円を、所得税の計算上控除することができます。

具体的なケースで考えてみましょう。夫の年収が600万円、妻(40歳)の給与収入が103万円以下の場合、夫の所得税の計算上38万円の配偶者控除を受けることができます。その結果、所得税は76,000円、住民税は33,000円の負担が減ることになります。

2)なぜ夫婦控除の導入を検討しているか

現在の配偶者控除は、女性が労働時間を抑える理由のひとつになっていると言われています。なぜならパートタイマーなどで働く女性にとって、自身の年間給与収入が103万円を超えてしまうと夫が配偶者控除を受けられず、少しの収入増によって税負担がそれ以上に増加するという「逆転現象」が起きてしまうからです。

労働力不足が深刻な問題となっている日本において、この仕組みに問題があると考えた政府は、配偶者控除を改正、配偶者収入の限度額を撤廃した「夫婦控除」を導入することで、労働力の増加へ繋げたいと考えているのです。まだ具体的な法案は出ていませんが、配偶者控除を廃止して所得制限のない夫婦控除を創設するという案とともに、子育て支援を拡充するなど様々な案が検討されています。

夫婦控除は、早ければ2017年1月より導入される予定です。

3)103万円の壁、130万円の壁

では、配偶者控除が改正されると本当に働きやすくなるのでしょうか。現在の法律では、専業主婦がパートタイマーなどとして働こうとする場合、2つの壁に行き当たります。ひとつは先ほどから説明している103万円の壁。

配偶者控除は、前述の通り給与収入が103万円以下であれば適用されます。勘違いされがちですが、「収入」と「所得」は言葉の意味が異なり、「収入-経費=所得」という関係になります。給与については税法上控除してよい経費相当額が定められており、その金額は最少で65万円となっています。

したがって、給与収入が38万円+65万円=103万円以下であれば、配偶者控除の「所得金額が38万円以下であること」という要件を満たすので、年収103万円という壁ができるのです。この壁は、配偶者控除の改正によってなくなる可能性があります。

一方、130万円の壁とは、社会保険に関係するものです。妻の年収が130万円未満の場合、社会保険上は夫の扶養対象となり、妻自身が社会保険料を負担する必要はありません。しかし130万円以上の収入があった場合には、妻自身で健康保険料・年金保険料を負担しなければなりません。仮に国民健康保険・国民年金に加入した場合、地方自治体によって金額は異なりますが、保険料は年間でおおよそ20万円~25万円になります。

4)まとめ

もし配偶者控除が改正されて103万円の壁がなくなったとしても、130万円の壁がある限り、共働きの障害がなくなるとは言えません。しかし、現在の政府は働く女性を増やして子育て世帯を支援するために様々な制度を根本から見直す方針ですので、今後の動向に注目していきたいですね。


この記事は、須田邦裕税理士事務所 須田 裕行 様に寄稿いただきました。 経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから

シェア0
ツイート
ブックマーク0
後で読む

この記事の関連キーワード

ボタンをクリックすると、キーワードをフォローできます。

関連する事例記事

  • 経理の基礎知識09月18日経営ハッカー編集部

    領収書の発行義務があるのはどんなとき?クレジットカード払いの領収書はどうなる?

    0ブックマーク
  • 経理の基礎知識09月18日経営ハッカー編集部

    住民税の普通徴収と特別徴収とは?2つの徴収方法をわかりやすく解説

    0ブックマーク
  • 経理の基礎知識09月03日経営ハッカー編集部

    住民票の申請で気をつけたいマイナンバー記載の有無

    0ブックマーク
  • 経理の基礎知識08月28日経営ハッカー編集部

    領収書だけでなく契約書にも収入印紙の添付が必要?あやふやになりがちな部分をクリアに解説

    1ブックマーク
  • 経理の基礎知識08月28日経営ハッカー編集部

    退職金の退職所得控除と所得税の計算方法をわかりやすく解説

    0ブックマーク
関連記事一覧
無料会員登録で限定記事が読める
資金繰りナビ スモールビジネスの資金繰りはこれ一つで完結