マイナンバーで株式投資やその納税手続きが変わる?税理士がわかりやすく解説します
マイナンバーは株式投資に影響するの?
ここのところの株価の上昇やNISA(少額投資非課税制度)の導入により、株式投資への関心が高まっていますが、2016年1月から運用が開始されるマイナンバー制度も株式投資への手続きの際に利用されます。
今回は、株式投資の際のマイナンバーの利用方法と手続きの変更点を秋山 勉 税理士に解説していただきました。
1)証券会社へのマイナンバー通知が義務化
1. 2016年1月1日より前に開設した証券口座
2018年末までに証券会社へのマイナンバーの通知が必要となります。また、2016年1月1日以降の特定口座及びジュニアNISA口座の開設にマイナンバーの通知が必要です。
2. 2016年1月1日以降に開設する証券口座
その開設時に証券会社へのマイナンバーの通知が必要です。
2)証券会社がマイナンバーを記載して税務署へ提出する主な書類
証券会社がマイナンバーを記載して税務署へ提出する書類は、所得税法等により3年間の猶予規定が設けられているため、その間はマイナンバーは記載しなくてよいこととなっています。
証券会社がマイナンバーを記載して税務署へ提出する書類は以下の通り
1. 特定口座年間取引報告書(特定口座) 2. 非課税口座年間取引報告書(NISA口座) 3. 配当・剰余金の分配及び基金利息の支払調書(一般口座及び源泉徴収なしの特定口座) 4. 株式等の譲渡の対価の支払調書(一般口座のうち一部の取引)
<参考>【マイナンバー導入】法定調書への記入・提出方法・注意点まとめ
3)投資家の納税手続きにおけるマイナンバーの利用
詳細は明らかにされていませんが、報道では個人が証券会社から取引データをネット上で受け取って自分のマイナポータル(インターネット上で自分の番号の付いた専用ページ)に取り込み、ネットで税務申告できるようにすることを検討しているとされています。
国税庁の「国税電子申告・納税システム」との連携ということでしょうから、電子申告により確定申告する場合には、やや手間が省けるようになります。
4)まとめ
投資家にとっての納税手続きの利便性はほとんど変わりません。ただし、税務当局がこれまでと比較し格段に申告漏れを把握しやすくなります。
株式投資に関するマイナンバー制度導入により、その目的のうちの2つ「公平・公正な社会の実現」(負担を不当に免れることの防止)と「行政の効率化」が実現しますから、残りの1つの「国民の利便性の向上」も今後さらに進んでいくとよいですね。