医療費控除のレシートが不要に?マイナンバーで確定申告はどこまで変わるか
マイナンバー制度により各機関の情報が一元的に管理されることで、マイナンバーを使って源泉徴収票や健康保険・年金の納付記録などが自分の家のパソコンから取り出せるようになります。
今までは各機関で別々に管理されていたものが、一度に確認できることでより効率的に確定申告をできるようになることが期待されています。今回は、マイナンバーによって確定申告がどのように変わるのか、神田 俊之 税理士に解説していただきました。
1)医療費控除
医療費控除は医療費が一定の金額を超えた際に申告により税負担を減らせる制度です。領収書を申告時に提出するか電子申告の場合でも保管が求められるため1年分を保管しておくことが必要になります。
これまでは領収書を紛失してしまったために再発行をする必要がある場合や、領収書の再発行ができないために医療費控除が受けられないケースがありました。
政府の発表によると、マイナンバーを活用することで健康保険組合や国民健康保険から届く医療費通知によってマイナンバーの個人用サイト(マイナポータル)で確認できるようになることから、2017年7月より領収書がなくとも医療費控除が受けられるようになる予定です。
ただし、健康保険組合や国民健康保険以外での医療費(病院への通院の際の交通費等)については医療費通知に記載されないことから領収書の保管が必要になる点は注意が必要です。
<参考>確定申告の医療費控除期限とやり方完全ガイド【2015年版】
2)国民健康保険料の控除証明
国民健康保険料については確定申告の際に証明書は必要ありませんが、1年間に納付した金額を記載する必要があります。現在金額の確認方法として送付された書類や銀行口座や、市区町村の窓口や電話で確認することができます。
マイナンバーの導入により、マイナポータルから1年間の納付金額を確認ができるようになるため、確定申告の際に改めて金額を確認する必要がなくなります。
3)国民年金保険料の控除証明
現在は年末調整又は確定申告において日本年金機構から送付された「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を添付することで、社会保険料控除として控除を受けることができます。
これがマイナンバーの導入によりマイナポータルから確認できるようになり、確定申告の際に改めて金額を確認する必要がなくなります。
<参考>年末調整で国民年金保険料を社会保険料として申告する方法のまとめ
4)源泉徴収票
源泉徴収票や給与支払報告書にはマイナンバーを記載して税務署や市区町村に提出することが必要になるため、マイナポータルから確認できることになり、これまでサラリーマンが源泉徴収票を会社から受け取ったのに紛失してしまった場合や会社が源泉徴収票を従業員に交付しなかった場合であっても確認することが可能になります。
<参考>【マイナンバー導入】法定調書への記入・提出方法・注意点まとめ
5)まとめ
いかがでしたでしょうか。マイナンバー制度の導入によって情報が一元管理されることによって確定申告がそれまでよりも効率的にできるようになることがお分かりいただけたかと思います。
毎年申告する方にとっては少しでも楽に確定申告できるようになってほしいですね。