アルバイト・パートの有給休暇の計算方法をわかりやすく解説
アルバイトやパートにも有給休暇は発生するの?
労働者の権利としての有給休暇。アルバイトやパートの場合でも、有給休暇の権利が発生します。ルール等について以下にみていきましょう。
1)有給休暇について
まずは、意外と仕組みを知らない有給休暇についての解説です。有給休暇とは、以下の2つを満たす休暇のことを指します。
- 心身の疲労を回復しゆとりある生活を保障するために付与される
- 「有給」すなわち取得しても賃金が減額されない
権利発生の要件は、以下の2つです。
- 雇い入れの日から6か月以上経過
- 全労働日数の8割以上出勤(出産・育児・労災・有給取得を除く)
週または年間の労働日数によって、付与日数が変わります。たとえ週に1日の勤務でも、要件を満たせば権利は発生します。
また、労働者の権利ですが、いつでも好きな時に取得できるかというと、必ずしもそうではありません。「事業の正常な運用」を妨げると考えられるときは有給休暇を他の日にずらして取得するよう、事業主が要求できるものとされています。
2)アルバイト・パートの有給休暇付与日数
有給休暇はどの程度付与されるのでしょうか。
まず最初に、アルバイトとパートは同じものと考えます。フルタイムではない、つまり週に30時間未満かつ、週4日以内又は年間216日以内で勤務している労働者を対象とします。 週に30時間以上勤務する場合や、一日4時間勤務でも週5日又は217日以上勤務する場合は、フルタイムと同じ有給休暇が付与されます。
パート・アルバイトの有給休暇付与日数は、以下の表にまとめられます。
表の見方ですが、例えば週に4日、半年(0.5年)勤務した場合で、所定の8割以上出勤していれば、7日の有給休暇が付与されます。週3日、4年半(4.5年)勤務した場合で、所定の8割以上出勤していれば、9日の有給休暇が付与されます。
付与のタイミングは、継続勤務期間が経過した時点です。これより遅く付与することは禁じられています。また、雇い入れからの勤務日数は、試用期間も含まれます。
3)週の労働日数が不定である場合の有給休暇付与日数
上記では、週に何日勤務、という契約が前提の話でした。しかし、中には「今週は4日、来週は1日、その次の週は3日…」という自由なシフト制の働き方もあります。そのときはどうするのでしょうか。
結論は、「基準日直前の実績を用いる」ということになります。 例えば入社後半年が経過した時点の場合。勤務実績が80日だとすると、2倍して年換算した160日が1年間の所定労働日数になります。そのうち欠勤が2割以内であれば、有給休暇が5日付与されます。
4)アルバイト・パートの有給休暇取得時の受給額
1. 平均賃金(過去3ヶ月の賃金総額÷その期間の総歴日数)
実績から平均を出す方法です。賞与等の臨時給付や労災により遅刻・早退した日は除きます。
2. 所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金
シフト等で既に労働時間が決まっている場合、その時間と時給をかけたものが有給休暇による賃金です。当然、労働時間が長い日に取得する方が額が大きくなります。
3. 健康保険の標準報酬日額(標準報酬月額÷30日)
その人の稼ぎによって異なる「標準報酬日額」を用いる方法です。
いずれかを就労規則で定めたのち、どれか一つを継続して使用します。トラブルをなくすためにも、取得前に確認した方がよいでしょう。
5)その他の論点
有給休暇は分割取得ができます。年間5日間を限度とし、事前の労使協定が必要です。また、時効は2年です。付与された日から2年を超えてしまうと、権利は消滅します。
事業主としては有給休暇の管理が煩雑になります。入社日がまちまちだと、付与日もまちまちになります。期首などに一斉付与しても構いませんが、本来の付与日より早く付与する必要があります。それ以後は早めた付与日を基準として付与し続けなければなりません。6か月、1年6か月、と一年ごとに付与することにならい、付与日の一年後が次の有給休暇付与基準日になります。
6)まとめ
以上が有給休暇、特にアルバイトやパートタイマーについての論点になります。労働者としては労働に対する明確な権利ですので、しっかり理解しておきましょう。事業主としては手間とコストがかかりますが、頑張りに報いることが社員の士気向上につながりますので、管理をおろそかにしないようご注意ください。
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