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2018年06月29日(金)

「行けたら行く」でもOK! パパが企画した「パパ友飲み会」が意外に支持されるワケ

経営ハッカー編集部
「行けたら行く」でもOK! パパが企画した「パパ友飲み会」が意外に支持されるワケ

こんにちは、先日、Movble Type の最新版の Movable Type 7 の発売を開始したシックス・アパートで働く作村です。シックス・アパートでは、ほとんどの社員がテレワークで働く「SAWS」という働き方を実践しています。昨年は、自分自身が実践性学び得た知識をテレワークをテーマに絞って、7つの記事を経営ハッカーさんに寄稿させていただきました。

世の中的にも自分的にもテレワークのネタはもうお腹いっぱい感がありましたので、いったん筆を置きましたが、この度、「ワークライフハック的な記事をなんか書いて」という経営ハッカー編集長から依頼があったので、テレワークにテーマを絞らず再度筆を執ってみることにしました。

最初に、読者の皆さんにちょっとした問題を出します。

昨日、話をした(挨拶した)人の顔を思い出してください。何人かの人の顔が浮かぶはずです。その顔ぶれから仕事関係の人たちを除いてください。さらに家族の顔を除いてください。いま、あなたの頭には誰の顔が思い浮かんでいますか?誰もいなくなってしまった?本稿はそんなあなたのための記事かもしれません。この記事は仕事関係以外のコミュニケーションを増やすことにチャンレジしたわたしの体験談です。

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さて、在宅勤務が増えると飲み会が減る。少なくとも自分はそうだった。飲み会や親睦会は嫌いではなく、むしろ好きな方だが、飲み会だけのためにわざわざ東京まで片道1時間半かけて日も沈みそうなになる夕方から外出する気にはならない。(せめてハッピーアワーの時間帯からスタートしたい。)

そんなわけで、在宅勤務を始めてから次第に飲み会と疎遠になる。しかしながら、先述したように飲み会自体は嫌いではないし、できれば参加したい。そんな思いで、地元で飲み会を企画してから、1年を経てついにお店を満員にできたところまでの経緯とコツについて綴ってみたい。

 

逆算して、「やりたくないこと」を決める

お店を満席にしたと書いたが、それをゴールにしてたわけじゃない。自分を含めてオッサンが気軽に集まれる場を作ることが成功イメージだ。とにかく自分と参加者の心理的ハードルを下げること。そんなわけで最初に決めたルールがこちら。

1.「行けたら行く」を許す

まず、出欠確認という作業は工数がかかる。参加者の母数が増えるほどその工数は増す。だから出欠確認は取らないことにした。場所と時間だけ連絡して、それ以上の回答を求めない。世間では「行けたら行く」と返事する人のほとんどが実際には来ないと思われているようだ。その裏には「行く」と返答した場合の責務から逃げたい心理が潜んでいるのだろう。

つまり、「行けたら行く」というのは、言葉の通りとらえると「行きたいけど、他より優先度は低い」ということだろう。飲み会の幹事側の視点で見たときにこの「行けたら行く」という返答に苛ついてしまうのは、参加人数が確定しないとお店を何席確保しないといけないのかが不明だからだ。イベントの幹事を悩ます最大の問題だ。

そこでわたしは考えた。席を確保しなければいいじゃんと。座席を確保しなければ、一人来ようが2人来ようが何人来ようが関係ない。そんなわけで、次に決めたのがこちらの開催日時ルールだ。

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2.毎月第一土曜日21時開始

毎月の定期開催にすることで報告連絡の手間を省き、特別なイベント感をなくす。つまり参加者が集まりすぎないようにする。土曜日にすることで会社帰りではなく、家から来るようになる。

「え?土曜の夜に地元でやる飲み会?」

と、このルールには不可思議な印象を持つだろう。

言いそびれたが、わたしには保育園に通う三歳の娘がいる。触れ合う時間の短くなる平日にはなるべく親子で一緒にいる時間を作りたいと思う。この飲み会の参加者ターゲットである保育園のパパさんたちにも、仕事で遅くなる平日はなるべくお子さんたちと一緒の時間を大切にしてほしい。そういう思いで、開催日をあえて土曜日に設定している。

仕事より子供を相手するほうが疲れる(わたしだけでしょうか?)のであとで飲むビールが美味い。土曜日開催にはママさんたちのヘイトを下げる効果もある(仮説だが)。わたしの経験上、保育園のお送りはパパさん、お迎えはママさんという役割分担が多いようだ(もちろんケースバイケースで役割をチェンジしてるだろう)。ママさんとしては平日もパパさんに早く帰ってきてほしいはずだが、仕事というブラックボックスでパパさんの帰り道は守られている。

ママ「いま、なんの仕事やってるの?」
パパ「入れ子構造のJSONファイルをCSVに変換するスクリプトを作るお仕事だ」

なんて説明してもだめだ。

ブラックボックス化した平日の帰り道で、パパ飲み会などという明確な攻撃ターゲットシンボルを置いてしまうことは、ママさんたちのヘイトを一手に引き受けるナイト的な挑発行為であり自殺行為だ。休日開催にすることでパパさんたちの平日のアクティビティは隠しようもなくオープンになる。日中の行動が(ママにとって)正当なものなら、飲み会への参加に快く送り出してくれるだろうという仮説だ(ここではそういった夫婦間のパワーバランスの是非については考察しない)。

そんなわけで、日中のタスクをこなしたあと、最難関のファイナル・ミッション「寝間しつけ」に成功したパパさんたちが夜な夜な飲み会に参加することになる。だからこそ、「行けたら行く」でOKなのだ。

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ここまでを整理してみる。

  • 出欠確認を取らないので参加者数は不明
  • 土曜日の21時スタートで終了時間は不明

この条件を満たす居酒屋はあるのだろうか?

あったのだ。自宅周辺の居酒屋を何件か廻ってヒアリングしたり、その時間帯に飲んでみたりしてリサーチした。

  • 自宅から徒歩3分。
  • 最後の客が帰る時間が閉店時間。
  • 土曜日の21時に長時間居座る団体客はほぼいない。一人飲みや少人数客が入れ替わる感じ。
  • そのうえ、店長が日本食の料理人で飯がうまい。

最高じゃん!
わたしの場合は最寄り駅から徒歩10分の住宅エリアに幸運にも条件を満たすお店を探すことができた。すべての条件を満たすお店を探すのは難しいだろうが、必須条件である「予約しなくてもいい店」なら探せばあるだろう。

 

どうやって飲み会に誘うのか?

うちの娘が通う保育園は遠足や発表会、懇親会などの行事ごとが多い。行事ごとの多くは土曜日に開催される。飲み会への誘いはこの行事ごとですることが多い。繰り返しの説明になるが、飲み会の人数を増やすのが目的ではないので闇雲には声をかけない。保育園の送り迎えのときに、すれ違ったり、挨拶したり、街なかで遭遇したときに軽く会釈したりを繰り返して、たまたま運動会などのイベントで隣り合ったときに初めて、声を掛ける。

「お酒好きですか?」

「お酒好きですか?」と聞かれて缶ビールやワインボトルを手渡されると思う人はいない(居なかった)。返事は「好きですよ。」「飲めないんですよ。」の2つに大別される。返事の内容は関係ないので、続けて「保育園のパパさんたちと飲み会やってるので、よかったら今度来ませんか?」と誘う。反応が良ければ連絡先を交換して、簡単に飲み会の予定を案内する。

相手様がメールアドレスやLINEも持ってなかったりする場合がある。そんなときは残念ながら諦める。連絡手段が増えると自分の工数が増えて気軽に集まるというコンセプトが崩れてしまうから。

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仕事の利害関係のない付き合いは楽しいよ

以上、わたしが地元でパパ友飲み会を立ち上げた経緯とその運用方法について書いてみた。やってみてわかったこと、再認識したことはこんなところだ。

  • 参加者の母数にかかわらず、参加人数は不思議と5,6人に落ち着く。
  • 集まり過ぎると会話が分散するので、5,6人に収まるような重力が働くのだろう。
  • 幹事のわたしが居ないときも開催できた。
  • お店が満席になったのは、たまたま10人集まったときに、さらにたまたま開催してた別のパパ友飲み会が二次会会場として乱入してきた。
  • 同じお店を使い続けている。そのうち参加者のうちからこのお店で仕事帰りにひとり飲みしたりボトルを入れる人が現れる。お店ともWin - Winの関係が築ける(と思っている)。わたしはお店から紹介手数料などは貰ってない(笑)。

子供が同じ保育園に通うパパ友というハードルの低さだったり、自分が在宅勤務なので幹事の仕事をやりやすい環境だったり、そんな幹事役をやることを許してくれる妻の存在だったり、こんな奇特な企画に共感して応援してれるママ友がいたりと、環境に恵まれているのは否めないので、ここで書いたノウハウや考え方が他のオッサンたちにすべて当てはまるとは考えない。

じゃあ、なぜこんな記事を書いて何が言いたかったのかと、いま自問自答してみると。「仕事の利害関係のないオッサン同士の付き合いは存外に楽しいよ」ということです。

では、また次の記事であいましょう!

事業開発担当として2011年より、シックス・アパート株式会社に勤務。現在は、経営企画も兼務。東京生まれ。社会人としてのほとんどの時間を横浜/鎌倉で幸せに過ごす。一児の父。好きな言葉は「合理的な非常識」。2016年夏、テレワーカーとして働き始める。自らを実験台にテレワークの様々なアイデアに挑む。 ※当連載の内容は個人によるもので、シックス・アパートを代表するものではありません。 Twitterアカウントはこちら

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