勘定科目はこれだけ覚えれば安心!頻出勘定科目6選
確定申告シーズンたけなわです。期限が迫ると気持ちも焦ってしまいますが、決算書を作るにあたってどうしてもつまずいてしまうのが「会計記録にあたって、どの勘定科目を使えばいいのか」。今回は、簿記のややこしい知識を覚えないで切り抜ける方法をお伝えします。
勘定科目とは「事業の取引の性質を表す項目」
事業の取引を記録するときに、その取引の「性質」をあらわす項目名のことを「勘定科目」といいます。簿記会計の世界では、「仕訳」という取引を記録するときにはこの「勘定科目」を必ず使います。具体的には、どういった用途で取引が発生したのか、たとえば
- 「得意先を接待したのか?」
- 「業務用の備品を買ったのか?」
- 「売上を上げたのか?」
などについて、「勘定科目」の名前でわかるように記録しておくのです。上記のように売上が上がったら、その勘定科目は、「売上」ですね。
会計取引を記録する「仕訳」では、以下の項目を記録することが必須となります。
- 「日付」(いつ取引が起きたのか)
- 「勘定科目」(どんな取引が起きたのか)
- 「金額」(いくらの取引が起きたのか)
この他「摘要欄」といって、メモ欄のように取引の内容を書き残してくことがあります。この情報は必須ではありませんが、書いておくほうがあとから探しやすいため通常は記録しておきます。
すべての勘定科目や簿記の体系を覚える必要はない
さて、個人事業主や法人の代表であるみなさんが行う確定申告では、申告する所得の基礎を表現する青色申告決算書(または収支内訳書)を作る必要があります。これらの決算書類を作成するにあたっては、「記帳」と呼ばれる作業によって日々の取引をすべて記録したデータが必要になります。
「記帳」作業にあたっては、すべての取引を記録しなければいけないわけですが、このときに「勘定科目」をどれかに決めないと記録(入力)ができないことがあります。どの勘定科目にするか迷っているうちに作業が滞ってしまい、決算書類の作成も遅れてしまうため非常に非効率なことになります。
でもちょっと待ってください。みなさんは事業をやっていたとしても必ずしも経理の専門家であるわけではないので、すべての勘定科目や簿記の体系を覚える必要はないはずです。少なくとも取引の記録をするときに、どの科目がどういう意味なのか「だいたい」わかっていれば決算書の作成や申告作業には支障がないはずですよね?
これだけは覚よう!頻出勘定科目9選
そこで、簿記の知識を一生懸命覚えなくても、最低限この勘定科目の意味だけ「だいたい」わかっていれば作業ができるものを知っておきましょう。ここでは「青色申告決算書」でよく使われる科目について紹介します。
租税公課
税金の支払に関係ありそうなときはこれ。自動車税や固定資産税以外に、印紙の購入などにも使います。
接待交際費
事業に関係のある飲み食いしたときはこれ。ただし個人的なものは除かないといけません。
通信費
広く通信のやりとりをしたときはこれ使います。電話料や郵便ハガキ代や切手代以外に、携帯電話の通信通話料もこれを使います。
消耗品費
文房具や備品など、事業に必要なもの(1年以内に使い切りそうなもの)をこまごまと買ったときにはこれ。ただし購入金額が10万円未満のものに限ります。
減価償却費
購入金額が10万円を超えるような高額の備品を買ったらこれ。年度末に減価償却という処理をしてその年に使った分を経費にします。具体的には「購入した金額÷使う年数」で計算します。
福利厚生費
自分(や一緒に仕事している家族や従業員)にごほうびするときはこれ。懇親会や食事会などで使えますが、一般的に個人事業主は法人に比べると経費として認められにくいのでなんでもかんでも福利厚生費にするのは避けた方が安全です。
これ以外に、個人事業主であれば覚えておいて損はしない勘定科目があります。 「事業主貸」と「事業主借」の2つです。 これらは「個人としての自分」と「事業主としての自分」の間でお金の貸し借りに使います。
- 自分で立て替えたら事業主借(自分から借りた)
- 預金を引き出したら事業主貸(自分に貸した)
と覚えておきましょう。先ほど紹介した経費科目は、たいての場合個人で立て替えるので対応する勘定科目は「事業主借」です。
たとえば個人で事務用品を購入した場合、仕訳であらわすと
- (借方)消耗品費 100(貸方)事業主借 100
と記録します。 仕訳はたくさん覚えるのではなく、このようなパターンをいくつか知っていれば大丈夫です。
勘定科目で悩まないために
よく使われる勘定科目について紹介してきましたが、これ以外の取引について悩んだりつまずいたりするとまた作業が滞って困ったことになりますね。確定申告をスムーズに終わらせるために、勘定科目を少しずつ知っていきましょう。 「経営ハッカー」では、みなさんの確定申告がスムーズにできるように「勘定科目辞書」を準備中です。乞うご期待!