事業主貸と事業主借ってなに?|知っておきたい勘定科目
「事業主貸・事業主借ってなんだろう」 今回は、事業主貸・事業主借という勘定科目を、どういうシーンで使うのかを紹介します。
1,事業主貸・事業主借とは?
個人事業主が、プライベートの出費を管理する際に使う事業主勘定を説明します。
【対象】
事業主貸・事業主借は、個人事業主の方が使います。 法人の場合は、この勘定科目は用いません。
【この勘定科目の意味】
事業主借= ・個人用のお金または収入を事業用のお金に入金をした際に使用する勘定科目 ・個人用のお金から事業用の支出をした際に使用する勘定科目
事業主貸 = ・事業用のお金から個人用のお金に資金を移動した際に使用する勘定科目 ・事業用のお金を個人用の支出に使用した際に使用する勘定科目
【この勘定科目を使用するシーン】
個人事業主の場合、事業用と個人用で完全にお金を分けることはなかなか難しいですよね。 そのため事業用のお金から個人用の支出をする場合や、個人用のお金から事業用の支出をする場合等があります。 そこで使用するのがこちらの勘定科目です。
例えば、 「事業用の口座から、個人にかかる保険料を支払った(事業主貸)」 (借方) 事業主貸 XXX円 / (貸方)普通預金 XXX円
「事業用の交通費を、個人用の現金から支払った(事業主借)」 (借方)旅費交通費 XXX円 / (貸方)事業主借 XXX円
のように登録をします。
2,注意点
1:経費にできないかを考える
事業主貸を使用する場合、その支出は本当に個人のものかを考える必要があります。
事業用の支出(経費)に出来るものは経費として計上しなければ、税金などの観点から不利益になります。
経費になるかの最終判断は税務署に確認を取ることをオススメします。
2:事業用口座で発生した利息に注意
事業主借を登録する際に注意するべきことは、事業用のお金に入金する預金利息も処理するところです。
利息にはすでに税金が掛かっていますので、事業の収益(事業所得)として計上しますと二重で課税されてしまいます。
「事業用の口座に利息が入金した場合」 (借方)普通預金 XXX円(利息分) / (貸方)事業主借 XXX円(利息分)
と仕訳を登録し、事業の収益(事業所得)ではないことを登録します。
3:確定申告の後
確定申告書を提出後、事業主貸と事業主借の残高を、元入金に反映させます。
「元入金の計算式」 元入金=前年度の元入金+青色申告特別控除前の所得金額+事業主借-事業主貸
そのため、以下のように元入金の残高を変更します。 ・事業主借の残高分、元入金の残高を増やす ・事業主貸の残高分、元入金の残高を減らす
個人事業主の場合は、事業用と個人用の収入・支出を区別することが、確定申告や日々の会計にとって重要なポイントとなります。 個人事業主の皆様は、ぜひご参考にしてください。