減価償却とは?2つの償却率から計算方法まで徹底解説
減価償却という言葉を普段からよく使っていても、それが会計上どのように処理されれるものなのかについては知らない方も多いのではないでしょうか。
今回は、経営者必見の減価償却について解説していきます。
減価償却とは
減価償却とは、資産価値が減少する資産を購入した場合に購入費用を分割で会計処理していくことです。
一括で費用として処理できる消耗品とは異なり、減価償却の対象となる資産は固定資産として扱われます。
減価償却で計上される費用のことを「減価償却費」と呼び、複数年に分けて固定資産の額から減価償却費を減額していきます。
減価償却費の一部は損金として計上できるので、固定資産を購入したら減価償却で処理するのが基本です。
償却資産とは
償却資産とは、事業用に購入する資産のうち取得価格が10万円以上のものです。
償却資産の条件に適合していれば、有形無形どちらの固定資産にも減価償却を適用できます。
有形の固定資産は、建物などの建築物からパソコンやコピー機などの機械類などのことで、無形の固定資産にはパソコンのソフトウェアなどが含まれます。
償却資産は、使用年数に応じて価値が減少していく資産であることが条件であるため、地価の変動によって価値が上昇する可能性がある土地などは償却資産とはなりません。
減価償却の「耐用年数」と「償却率」とは
減価償却費を計算するのに欠かせないのが「耐用年数」と「償却率」です。
耐用年数とは
減価償却費の計算に用いられるのが資産の「耐用年数」です。
償却資産の耐用年数は税法で定められており、固定資産ごとに設定された耐用年数を減価償却費の計算に使用します。
固定資産の耐用年数が実際どのぐらいかかったかについては一切関係がなく、「法定耐用年数」を基準に計算しなければなりません。
償却率とは
償却率とは、耐用年数に応じて定められた割合のことです。
償却率には以下のように算出方法がそれぞれ異なる「定額法」と「定率法」があります。
定額法償却率:1÷耐用年数
定率法償却率:定率法償却率×2(定率法償却率=定額法償却率×2)
「耐用年数が2年」の減価償却資産の償却率は以下のようになります。
定額法:1÷2年=0.5%
定率法:1%×2年=2%
減価償却費の計算方法
定額法と定率法で償却率を算出する方法が理解できたら、次は減価償却費の計算方法です。
定額法で減価償却費を計算する場合
取得価格×定額法償却率=減価償却費
取得価格を耐用年数で割ると端数が出てしまうため、上記のように定額法償却率を使用します
ただし、平成19年度(2007年度)より前に取得した償却資産は「取得価格−残存価格×償却率」で計算されます。
定率法で減価償却費を計算する場合
(取得価格−減価償却累計額)×定率法償却率
定率法では、償却資産額の総額から減価償却済みの金額を差し引いた額に償却率をかけるという計算方法が用いられます。
定額法で減価償却費を計上すると、減価償却費が年々減少していく形になります。
“減価償却は、高額な資産について、購入年度だけでなく数年にわたってその費用を計上できるシステムで、建物や設備などの有形のものだけでなくソフトウェアなどの無形の財産にも適用されます。”
<引用元>経営ハッカー:減価償却費の計算方法をわかりやすく解説|計算例3選つき
減価償却の経理処理方法
減価償却費は「税込経理」と「税抜経理」のどちらかで会計処理されます。
税込経理のほうが計上金額が大きくなるため、減価償却費の経理は「税抜経理」を用いたほうが合理的です。
減価償却費と税金
会社の利益から差し引かれる費用が大きいほど節税効果が高くなります。
減価償却費も費用として計上すれば節税につながりますが、限度額を超えた費用については「損金不算入」となるため注意が必要です。
減価償却についての法改正
減価償却制度は、平成19年度(2007年度)に残存価格が廃止され、250%の定率法が導入されましたが、平成23年度(2011年度)には250%の定率法が200%の定率法に改正されました。
平成28年度(2016年度)に再度法改正が行われた際は、建物附属設備と構築物についての減価償却方法が変更され、新たに取得する建物附属設備と構築物には定額法を適用することとなりました。
“平成19年度税制改正により、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については償却可能限度額及び残存価額が廃止され、1円まで償却することとされました。また定率法の計算方法についても大幅に改正されました。”
<引用元>国税庁:定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)
まとめ
償却資産に該当する事業用の固定資産を購入したら、法定耐用年数と2つの償却率のどちらかを用いて算出された減価償却費を費用として計上しましょう。