経理・財務2015年06月15日(月)
減価償却費の計算方法をわかりやすく解説|計算例3選つき
会社の費用に計上、減価償却費
平成23年の税制改正で減価償却費の計算が少し変わりました。減価償却は費用として会社の利益を大きく左右するものなので、新しい計算方法についての情報はいち早く押さえておく必要があるかと思います。
1)減価償却とは
減価償却は、高額な資産について、購入年度だけでなく数年にわたってその費用を計上できるシステムで、建物や設備などの有形のものだけでなくソフトウェアなどの無形の財産にも適用されます。それぞれの耐用年数に応じて資産の価値からその年に消耗したとされる金額を費用として引いていきます。毎年費用として計上できるため、利益を書面上で減らすことができ、税金を減らすことができます。・ 有形資産
建物(社屋や店舗、工場など)、パソコンや事務所内のオフィス用品、自動車などが含まれます。それぞれの物品ごとに耐用年数が決まっており、それに従って償却します。実際の使える年数、使った年数にかかわらず、国が定めた年数となります。・ 無形資産
特許権や実用新案などの形にはならないけれど会社の経営で必要な権利、ソフトウェアなどの知的財産などを指します。 〈参考〉有形固定資産と無形固定資産の減価償却方法の違いをわかりやすく解説2)減価償却費の計算方法の改正
平成19年の改正では、償却可能限度額と残存価額が廃止されたのが、最も大きなポイントでした。残存価額として一定の金額は償却できなかった以前のシステムから、備忘価格として形ばかりの1円という金額を残すだけで済むようになりました。さらに、平成23年の改正では、定率法の償却率が引き下げられて、定額法に少し近づきました。初期段階の費用計上が少なくなり、償却金額のバランスがなだらかになります。また、以前の25倍から20倍になったことから200パーセント定率法と呼ばれるようになりました。3)減価償却費の計算例
減価償却費の計算は現行では、時間とともに減価償却していく定額法、定率法とその資産を使って得た利益に応じて変わる生産高比例法などがあります。・定額法
取得価額を耐用年数で割った金額を毎年一定に償却していく方法です。 100万円の自動車であれば、6年で償却するので計算式は 100万円÷6年=166,666.66666…となり166,667円が毎年の償却となります。・定率法
対して同様の自動車であれば、 1年目は100万円×0.333(償却率)となり、初年度は333,000円、2年目は222,110円となっていきます。6年目の償却で1円となるように一定の金額まで残存価額が下がると定額法になります。・生産高比例法
定率法に少し似ていますが、償却する率を実際に使った分から出すやり方です。上記自動車では走った距離などがそれに相当します。走れる距離が1万キロだったとして1000キロ実際に走ったとするとその年は 100万円×1000キロ÷1万キロとなります。 〈参考〉「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」って何?よくある疑問を徹底解説!4)まとめ
減価償却費の計算はその時々の社会情勢などによっても変化を続けています。また、計上すべき資産の金額も改正によって変わってきています。資産計上と減価償却費は会社の経営に大きく影響するため、法改正に合わせて自社の経営状況、今後の設備投資などのバランスを取っていかなくてはいけません。経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから