学習塾・教室の経理は独特で異質?ポイントをおさえれば5分で理解できます
学習塾・教室の経理はとてもシンプル。
世の中にあるさまざまなビジネスの中でも、実は学習塾や料理教室、ヨガ教室、スポーツクラブといった教室の経理は難しいかと思うかもしれませんが、実はとてもシンプルです。その理由は、一般的な企業と違って、複雑な販売管理や原価管理、取引関係を伴うケースがあまりないため。
ただ、そんな学習塾・教室の経理にもおさえておきたいポイントはいくつかあります。今回は学習塾・教室の経理のポイントを5分で理解でき、迷わず経理事務をこなせるようになるコツをお伝えします。
学習塾・教室の経理の全体像
学習塾・教室の経理の全体像をつかむため、まずは収入と支出について改めて洗い出してみましょう。
収入(売上)
- 授業料
- 教材代
- 入学金や事務手数料
これ以外にも細かいものはありますが、大きく言えば学習塾の収入はこの3点です。続いて支出を見てみましょう。
支出(経費)
- 教室の賃料・光熱費
- 講師の人件費
- 広告宣伝費
- (フランチャイズの場合のみ)ロイヤリティ
支出のほうもとてもシンプルですね。もちろん、教室の椅子や机など備品の固定資産の計上、銀行等から融資を受けている場合は借入金の返済など、ほかにもありますが、学習塾・教室の主たる支出で必ず毎月発生するのは、「教室の賃料・光熱費、人件費」、そしてフランチャイズの場合は本部に支払う「ロイヤリティ」です。
このうち、授業料、教室の賃料・光熱費、ロイヤリティについては気を付けたいポイントがあるので、ひとつずつ説明します。
授業料の仕訳のポイント
ここでは、最もよくある、「毎月の月謝を口座振替(口座引落)で集金している」ケースでご説明します。
【よくある授業料の集金の例】
毎月、集金代行サービスを利用して当月分の月謝を5日に各生徒の口座から引落。
↓
当月25日に、集金代行サービスから学習塾・教室の口座へ一括入金
この場合、おさえておきたいポイントは以下の2点です。
- いつ売上を計上すべきか
- 生徒ごとに授業料を記帳したほうがよいか、まとめてでよいか
いつ売上を計上すべきか
どのタイミングで売上を計上するかですが、学習塾・教室の口座へ入金されたタイミングがよいでしょう。
細かく考えれば、本来は退塾可能期日、たとえば3月末で塾をやめる場合は2月末までに申し出が必要等、を事前に契約書で取り決めている場合は、その日が過ぎた時点で取引が発生していますので、その時点でまず売掛金として計上になります。
さらに入金されてから役務の提供(その月の授業やレッスンの提供)が完了するまでは前受金という扱いになり、役務の提供の完了をもってはじめて売上として計上すべき……と考えることもできますが、月謝の場合は同月内にすべてが完了するケースが多いため、シンプルに学習塾・教室の口座へ入金されたタイミングで売上に計上する、として問題ないでしょう。
※月謝が前月や翌月に口座入金される場合は、決算月をまたぐ場合のみ、それぞれ前受金・売掛金として計上が必要になりますので、注意が必要です。
※英会話スクールのように、入学時に数か月かかって受講する予定の授業料をまとめて受け付ける場合は、当てはまりません。
生徒ごとに授業料を記帳したほうがよいか、まとめてでよいか
こちらは、どちらでもOKです。
同じ月の授業料であれば、全員分を合算した額をまとめて記帳しても構いませんし、生徒ごとに追々確認できるようにしたいのであれば、わけて記帳しても問題ありません。各生徒分を分けて記帳するのは手間がかかりますが、あとから生徒ごとの受講月数や単価などを分析するときに役立つというメリットがあります。
教室の賃料・光熱費の仕訳のポイント(個人事業主のみ)
賃貸物件を教室として借りている場合の賃借料や光熱費については、法人の場合はそのまま計上すれば問題ありません。一方、個人事業主は自宅を開放して教室として開業している場合がよくあります。この場合は、自宅の家賃の一部や光熱費の一部を経費として計上することができます。これを家事按分といいます。
一般的に、家賃については、どのくらいのスペースを仕事で使用しているのかという面積から計算する方法、光熱費の場合は、業務時間・使用時間の比率から計算する方法やコンセントの数から計算する方法があります。
以下の記事が参考になります。
参考:家事按分の比率ってどう計算すればいいの?個人事業主Q&A | 2016年確定申告
ロイヤリティの仕訳のポイント
フランチャイズの学習塾や教室の場合、フランチャイズ本部に毎月支払うロイヤリティが発生するケースが多いでしょう。また、ロイヤリティだけでなく広告宣伝分担費や、システム使用料などが発生する場合もあります。これらの勘定科目で悩むこともよくあります。
ロイヤリティは支払手数料といった勘定科目を使用してももちろんよいですし、より簡単な手段として、そのまま「ロイヤリティ」という勘定科目を作ってしまう方法もあります。勘定科目のつけかたに絶対的なルールはありませんので、フランチャイズ本部から毎月届く請求書に書かれている項目の名前をそのまま勘定科目にしてしまうのもアリでしょう。そうすることで、毎月の請求書を見てそのまま入力すればいいだけになるので、勘定科目に迷うことがなくなります。広告宣伝分担費やシステム使用料についても、同様のやり方で記帳してしまうことができます。
まとめ
学習塾の経理はポイントをおさえれば非常にシンプルですので、手間をそこまでかけずに日々の記帳を行うことができます。経理を毎月ご自身でされることで、学習塾・教室の経営状態もはっきり見えてきますので、ぜひ積極的に取り組んでみてください。