2019年06月11日(火)1ブックマーク

M&Aとは?M&Aの動向や中小、ベンチャーにおけるM&Aのリアルな活用法を知る

経営ハッカー編集部
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M&Aはもともと欧米を中心に拡がっていった自社と他社の経営資源をダイナミックに結合させていく事業再構築の手法の一つですが、最近では日本企業もかなり活発にM&Aを行うようになってきました。さらに、中小、ベンチャー企業にとってもM&Aが急速に身近なものになりつつあります。しかし、M&Aを実行すると当該企業を取り巻く環境があまりにも変わることから劇薬とも言われ、毀誉褒貶相半ばするところでもあります。そこで、今回は最近のM&Aの動向について、専門家にインタビューしたリアルな情報をお届けするとともに、中小、ベンチャー企業におけるM&Aの有効な活用方法を考えてみたいと思います。

目次

    M&Aとは

    M&Aは「Merger and Acquisitions」の略で、「合併と買収」と訳されます。

    M&Aが生まれた背景は、19世紀以降、産業革命を背景に力をつけてきた米国財閥が、石油や鉄道事業を拡大していく際に、それを加速化する手法として活用したことによります。
    その後、大手コンサルティング会社が事業多角化戦略の一環として、M&Aを提案するようになり、企業の戦略として定着しました。

    一方に日本においては、1980年代の円高がきっかけとなって、外国企業の買収ブームが起こりM&Aが広まっていきました。

    M&Aの意義

    前述のようにM&Aは合併と買収を意味しますが、広義には、出資を伴う資本・業務提携も含めます。買い手にとってのM&Aの最大の意義は時間を買うことであり、それにより自前でゼロから取り組むよりも、短期間に相手側の経営資源を手に入れることで経営目標を達成できることです。逆に、売り手にとっては、自社の経営資源を売却し創業者利益を得たり、買い手企業の傘下に入ることで、企業の存続や発展を目指すことができるようになるといった価値があります。

    M&Aの最近の動向

    平成最後の2018年度、M&A件数、金額が過去最高を更新

    M&A大手仲介会社のストライクがまとめた、直近2018年度の上場企業のM&A動向によると、2018年度(2018年4月-2019年3月)のM&A(企業の合併・買収)件数は830件、金額(株式取得費用とアドバイザリー費用を合わせた取引総額)が12兆7069億円となり、いずれも2009年度以降の10年間で最も高い数字となったようです。
     
    この中で、武田薬品工業がアイルランドの製薬会社シャイアーの買収に投じた6兆7900億円は日本企業が行ったM&A として過去最高となりました。1000億円を超える案件もこの10年で最高だった2017年度と並ぶ18件に達した模様です。
     
    ストライクの代表である荒井邦彦氏は「日銀による金融緩和を背景に資金調達環境が良いことから、M&A市場は今後も活況が続きそうだ」と予測しています。

    武田薬品のシャイアー買収は日本企業最高金額

    過去最高金額となった武田薬品のシャイアー買収は2018年5月8日に発表され、2019年1月8日に成立しました。巨額の買収金額が経営に与える影響を懸念して、創業家一族ら一部の株主が買収に反対したものの、臨時株主総会での武田薬品株主の賛成率は89.1%に達し買収は承認されました。
     
    武田薬品は製品化に近い新規候補物質の保有数が少ないという戦略的な課題があり、これに対しシャイアーは開発の中期や後期段階の新規候補物質を多く持っており事業シナジーを狙った買収でした。
     
    次に、武田薬品に次ぐ大型の案件はルネサスエレクトロニクスによる米半導体メーカー・インテグレーテッド・デバイス・テクノロジーズ(IDT)の買収で、買収金額は日本の半導体メーカーとして過去最高となる7,730億円に達しました。同社の半導体は自動運転やEV(電気自動車)などの車載向けに通信用半導体の需要拡大が見込まれており、ルネサスエレクトロニクスはIDTの買収によってこの分野の開発力強化や製品の相互補完を目指すという考えです。
     
    金額3位は日立製作所によるスイスABBの送配電事業の買収の7,140億円でした。日立製作所はABBから2020年前半をめどに分社される送配電事業会社の株式80.1%を取得し子会社化したあと、4年目以降に100%を取得し完全子会社化することに成功。再生可能エネルギー市場の拡大や新興国での電力網の整備に伴い、送配電設備に対する需要は一層高まると予想されており、日立製作所は買収により送配電事業で世界首位を狙っていくようです。

    大型M&Aの大半はクロスボーダー

    昨年の内訳では、金額が1,000億円を超える大型のM&Aは実に18件あり、武田薬品など金額上位3社のほかに、大陽日酸、三菱UFJ信託銀行、大正製薬ホールディングス、東京海上ホールディングス、JTといった大企業が名を連ねています。これら18件中17件が国境を越えるクロスボーダーM&Aとなっています。
     
    2018年のM&A件数830件中、こうしたクロスボーダーは185件(構成比22.3%)に達しており、日本企業が積極的に海外での地盤固めに動いた様子が浮かび上がっています。

    中小、ベンチャーのM&A動向

    上記のように、日本のM&Aシーンでは大企業の動きが目立っていますが、中小企業やベンチャー企業のM&A環境はどうなっているのでしょうか?
     
    中小企業庁によると、中小企業のM&Aは2010年以降飛躍的に増加しており、2017年時点での中小企業のM&A成約件数は、2012年に比べて3倍超の伸びとなったと指摘しています。なぜ、これほどまでに日本ではM&Aが活発化しているのでしょうか。以下にその理由を見ていきます。

    1.中小企業の後継者問題を解決する方法として、M&Aが切迫した問題となってきた

    実際に今、中小企業の多くが後継者問題に悩まされています。帝国データバンクの調査によると、年間売上が1億円以下の企業の約8割近くが後継者不在という問題に直面しているといいます。このような状況のもと、実際に中小企業の経営者は何を考えているのでしょうか?
     
    中小企業の事業承継を中心に支援する、アタックスグループ代表パートナーの林公一氏によると、日本の経営者のM&Aに対する意識がかなり変わってきたと言います。

    「以前は、国内の中小企業経営者からすれば、M&Aと言えば『ハゲタカ』に食いものにされるなど、買収される側のM&Aとしてネガティブなイメージが強かった。それが最近になってようやく会社を存続発展させる有効な方法として前向きに認知されるようになってきたのです。
     
    実際に、経営者が事業承継を真剣に考えはじめたことも大きな要因になっています。日本の経営者も平均年齢が上がってきて、現実に会社を誰に継がせようかと思ったとき、後継者が育っていないということに気づきます。もちろん息子に継がせようと思って、海外留学などで手厚い教育機会を提供してきたこともあります。しかし、海外留学に行かせてみると、グローバルで自由な空気に触れ、息子が別のことをやりたいといって継いでくれない結果になることもよく聞く話ですね。さらに最近では、母親が反対するケースもあるようです。もし、会社を引き継いで経営が上手くいかなかった場合、巨額な個人保証をしていると両親の破産というリスクが孫に及ぶのを避けたいというわけなのです。
     
    各社さまざまな理由がありますが、会社の引継ぎがスムーズに行かないことも多いです。そのとき、普通の経営者ならどのようにして従業員の雇用を守るかということが意識に上がってくる。この点、最近では『親族外承継』という言葉も一般化してきており、親族に後継者がいない場合は、必然的に外部に継がせたほうが良いという流れになりつつある」

    と指摘しています。

    参考:事業承継とは?進め方の基本ステップと事業承継税制・補助金について解説 

    2.マッチングサイトによって激増するマイクロM&A

    マッチングサイトの登場により劇的なM&A市場の変化が起こったと指摘するのは、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会の大原達朗代表理事です。

    「最近のM&Aにおける、画期的な出来事は本格的なM&Aマッチングサイトの出現です。小規模M&Aを主たる対象とする仲介サイト、トランビが現れたのが6年前のこと。当初はそうでもなかったのですが、ここ1、2年の間にトランビの件数が急激に伸びてきました。こういった状況を見て、他のマッチングサイトもどんどん参入してくるようになり、ビジネス界でM&Aがかなり身近になってきたのです。サイトを経由した案件は当然、売買額は少なくなりますが、非常に多様化していて興味を引きます。
     
    私は、売買金額が1,000万円以下のM&AをマイクロM&Aと呼んでいますが、こういった案件が多量に出てくるようになりました。2017年時点でもうすでに、中小も含めたM&A成約が3,000件を超えていて、今後はさらに劇的に件数が増えると思います」。

    3.起業のためのM&A 

    先述の大原氏によれば、起業のためのM&Aも増えたといいます。

    「起業のためのM&Aは500万円でも行えます。かつてM&Aといえば、新聞紙上をにぎわす何千億単位の規模が当たり前でした。しかし、現在注目が集まっているマイクロM&Aは個人でも売り買いできる価格で取引が盛んに行われています。
     
    例えば、夢を叶えてカフェを開店したが思うように経営が軌道に乗らなかった人、一方でなるべく開店コストをかけずに店を始めたい人。それらをつなぐ役割を果たしているのがマイクロM&Aです。
     
    マイクロM&Aでは小規模な店舗や会社であれば、500~1,000万円の出資でM&Aが可能となります。少額M&Aはリタイア後の人生を考える人やプレ起業家が事業を開始する手段としても今後の広がりが期待されますね」。

    4.中小、ベンチャー企業のイグジット戦略としてのM&A

    次は、シリアルアントレプレナーの台頭により、会社を成長させ売却した資金で、次のベンチャーを育てるというトレンドが生まれつつあると見ているのは株式会社M&Aクラウド 代表取締役CEO及川 厚博氏です。氏は、学生時代から教育系SNSや、医療専門家情報サイト企業などを立ち上げ、売却してきた経験を持ち、シリアルアントレプレナーとしても実績を残しています。

    「先輩たちに聞くと、以前のITベンチャーブームでは、何がなんでもIPOという単線的な意識が強かったといいます。IPOして億万長者になり30歳で引退するみたいな話ですね。でも最近は、IPOももちろん選択肢にありますが、途中段階での売却も活発に行われています。というのは、IPO自体が年間でそう多くはないし、途中で売却して、資金をつくり、その資金で自らエンジェル投資家となって、次の投資に向かっていくほうが、むしろカッコいいという意識があります。そのほうが社会的価値が高いという認識ですね。
     
    若い起業家にとって、ピーター・ティールなどの、シリアルアントレプレナーも憧れの対象にはなっているようだが、日本でも身近に、家入一真氏やエニペイの木村氏、小澤隆生氏といった、手本となるシリアルアントレプレナーも少なからずいます。こういったロールモデルが近くに存在していることの影響も大きい」

    と及川氏は指摘しています。

    5.労働人口の減少による人材不足対策としてのM&A 

    国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、生産年齢人口は2030年には6,875万人、2060年には4,793万人にまで減少するとされています。現在、すでにさまざまな業種で人材不足は深刻化していますが、今後ますますこの傾向は強まると予測されます。
     
    そんな中、急激なテクノロジーの進化、激変する市場に対応できる多様なスキルや技術を持った人材の確保が企業にとって急務となっています。そうした企業成長に関わる人材を得る方法としてもM&Aが有望視されています。
     
    つまり、IT業界ではエンジニアを会社ごと買うといった、人手不足対策のM&Aも活発化しているようです。
     
    また、さらに深刻なのが介護や飲食業界です。特に介護業界などでは人手不足倒産なども起こっており、人を確保するために大手の傘下に入ったほうがよいと考える経営者も増えています。

    6.成長戦略のために同じ事業ドメインに属する他の中小、ベンチャーを買収する

    ある千葉県の教育事業会社は、かつて語学教育事業に力を入れていました。この会社は、海外での日本語学校などの事業を行い、日本企業への海外人材の紹介を行っていたのです。しかしながら、人手による翻訳や、コンピューターによる自動翻訳サービスを始めたところから、翻訳技術の洗練化により力を入れるようになったのです。具体的には、LINEを活用し、5か国の言語を話す5人の外国人が、自国語でチャットをすれば、お互いに自国語に自動翻訳され会話ができるというサービスをはじめました。もちろん、もともとテック系の会社ではないので、このチャット・ボットを創る会社のもつ事業を買収したのです。その意思決定に要した時間は1週間だったと言います。
     
    このように、中小ベンチャーの間でも様々なタイプのM&Aが活発化しています。

    M&A(会社の合併・買収)の中小、ベンチャーにとっての活用方法は?

    前半でM&Aのリアルな動向をお伝えしてきましたが、ここで中小、ベンチャー企業にとってのM&Aの戦略的な意味とメリット整理してみます。

    M&Aの戦略的な意味とメリット

    企業戦略の再構築手段として注目されるM&Aですが、事業戦略的に整理すると次のようになります。

    ①シェアの拡大、事業ドメイン集中による成長の加速

    買収対象企業のシェアが加算されることで、市場占有率のシェア向上が見込まれます。単独での事業展開に比べ、企業の成長が加速します。

    ②事業の多角化と拡充

    買収の対象となる企業が培ったノウハウや市場を手に入れることで、短期間で事業の多角化が実現します。つまり、既存の事業に影響を及ぼすことなく事業領域を拡大できます。

    ③新規事業への参入

    新規事業への参入の高いハードルとなる、人的資源、設備投資の負担が軽減され、成長産業への進出が実現できます。自社独自でのゼロからの参入に比べ、リスクが大幅に下げられます。

    ④シナジー効果の創出

    既存事業の商品・サービスの拡充や販売チャネルの獲得、販売・物流・製造コストの削減など、幅広い分野でのシナジー効果が期待できます。買収対象企業のノウハウや技術を取得することで既存事業のテコ入れができ、売上向上へとつながる可能性があります。

    ⑤事業資金の獲得

    シリアルアントレプレナーのケースがこれに当たりますが、次の事業資金を獲得するために事業を発展させバイアウトします。現状事業の価値を上げることで、まとまったキャッシュが入手でき、次に思い切った事業展開ができるようになります。

    ⑥企業の存続、雇用の確保

    従業員の雇用確保を目的として、事業承継や、同一業態の大手に吸収してもらうことで従業員の雇用が守れます。

    上記戦略を実行するためのM&Aのスキーム

    M&Aの実行にあたっては、以下のような様々な手法があります。

    1.分割

    分割は会社の事業を、新規設立の会社か他の会社に承継させる方法です。分割には「新設分割」と「吸収分割」の2つの方法があります。
     
    新設分割では新しい会社を設立し、事業の一部または全部を移転します。新設分割は1つの会社が単独で行う場合と、複数の会社が共同で行う場合があります。グループ内での再編でもよく活用されます。吸収分割は会社の事業の一部または全部を、他の会社に承継させます。事業譲渡の対価として株式が割り当てられます。

    2.買収

    買収は買収する側の会社が、買収される側の会社の経営権を獲得する手法です。被買収側の企業は買収後も存続できます。
     
    買収には大きく「事業譲渡」「株式取得」の2つがあります。事業譲渡は会社の事業の一部を買い取る方法で、個々の事業部門のみが買収の対象となります。それに対し株式取得では、議決権の過半にあたる株式を取得することで会社全体の経営権を握ります。

    3.合併

    合併では、2つ以上の会社が1つに統合されます。合併には「吸収合併」と「新設合併」があります。吸収合併では、1つの会社を残して合併に参加した残りの会社がすべて消滅します。元の会社の資産や債権・債務、人材などが1つの法人格に集約されます。
     
    新設合併では新たな会社が設立され、合併に参加したすべての会社が消滅します。新設合併は新会社設立などの手続きに手間がかかるため、グループ再編といった場合にのみ用いられることが多く、吸収合併が一般的です。吸収合併では企業規模が大きく、ブランド力や知名度の高い会社への吸収が行われます。

    4.その他

    M&Aは広い意味で、複数の会社がお互いの利益向上を目的として協力する行動も含まれます。そのため、業務提携や資本提携もまたM&Aと呼ばれます。業務提携の内容としては、技術提携、生産提携、販売提携があります。資本提携の形には、資本参加や資本の相互保有といったものが見られます。

    さらに詳しいスキームの整理については下記が参考になります。

    参考:M&A online

    M&Aのリスク

    数多くのメリットを持つM&Aですが、デメリットがあることについても知っておかなければなりません。

    ・企業文化がなじまない場合がある

    まったく異なる会社が融合するまでには、非常に多くの時間がかかります。会社の社風や制度の違い、人事のあり方などに反発し、貴重な人材が流出してしまうケースも考えられます。社内の混乱が続くことで事業にも悪影響を及ぼします。

    ・想定外の債務が発覚する場合がある

    M&Aを行う際には表面化されていなかった簿外債務の発覚、M&Aが原因となり発生する取引先とのトラブルなど、想定外の債務を負う恐れもあります。

    ・期待通りの効果が得られない場合がある

    M&Aは成長を見込んで行う企業戦略ですが、事業計画書通りに実施できなかったり、想像よりもシナジー効果が得られなかったりするケースも多々あります。高額の費用をかけて行ったM&A後に期待通りの利益向上が見られないという結果も起こり得ます。

    M&Aによる会社譲渡(売却)を実行する場合

    M&Aで自社の売却に取り組むには、一般的にはM&Aアドバイザリー会社(フィナンシャルアドバイザー=FA)の支援を受けますが、その場合はM&A支援会社の支援を受けるか、完全に独力で進めるかの判断が必要となります。一般的には支援を受けると支援のためのフィーが発生します。

    1.独自に進める場合

    以下のマッチングサイトを活用すれば、譲渡側がフィーの負担がなく事業売却を進めることが可能です。

    ①トランビの活用

    国内最大級の事業承継・M&Aプラットフォームを標榜し、小規模から大規模案件まで扱うマッチングサイト「TRANBI」です。ゆるキャラの売買や、一部店舗のみの事業譲渡といった、あらゆるタイプのマッチングが成立しています。特にフィナンシャルアドバイザーにお金をかけられない小規模案件におすすめです。

    ②M&Aクラウドの活用

    M&Aクラウドは、M&Aに積極的な買い手企業を数多く登録しています。売り手は売却完了まで完全無料という特徴を持ちます。M&Aクラウドは、間に仲介業者が入らないため、買い手候補探しから売却完了まで完全無料で行うことができます。買い手候補の担当者に直接売却の打診をすることができます。

    2.M&A仲介、アドバイザリー(FA)会社を活用する場合

    規模の大きな案件や、経験がないので不安だという場合は、専門会社を通したほうが無難です。このとき、M&A支援会社によってM&Aに対する考えが違いますので、自社にあった仲介会社、アドバイザリー会社を選びましょう。

    ①大手上場M&A総合会社(仲介もFAも、マッチングサイト運営も行う)

    実績とネットワークを持ち業界をリードする企業群です。日本M&Aセンター<証券コード:2127>、M&Aキャピタルパートナーズ<同6080>、ストライク<同6196>など。成約実績や、安心した取引を求める場合は相談候補に入れたほうが良いでしょう。しかし、この3社の中でも、得意な分野や業態、活動エリアは違いますので、実際に話を聞いて確認してみましょう。

    ②FA特化会社

    ピナクル株式会社代表取締役安田育生氏は日本のM&Aの草分けと呼ばれているプロフェッショナルなFAです。安田氏は、M&Aはどちらかの側に立たないと仲介では利益相反になると言います。

    「最近の事業承継のM&Aで売り手、買い手、両方から仲介手数料を取るというのが日本で定着してきていますが、海外のM&Aのプロフェッショナルからは奇異に映るらしく、そんなことがどうして許されるのか、利害相反は日本では問題にされないのか、とよく聞かれます。私も本来の、買い側と売り側それぞれのファイナンシャル・アドバイザー(FA)がそれぞれの依頼人のベスト・インタレストを守るべく最善を尽くすのが本来のアドバイザーのあるべき姿だと思っています。
     
    企業価値算定で言えば、最近このような事例がありました。同じ会社なのに、純資産方式で計算した企業価値を、類似会社比較方式で計算してみたら2倍以上になったということがあったのです。このように価値算定方式の違いだけで企業価値が大きく異なるということは頻繁にある。売主はもっとも有利な価値評価で買い主側と交渉に臨むべきです。
     
    同じように買い主側もなるべく安く買いたいはずだし、リスクも回避したいはず。それぞれのFAが売り主側、買い主側に立って、プロフェッショナルなノウハウを駆使して有利な条件を依頼主のために勝ち取るというような大企業M&Aでもやっているようなやり方を中小企業事業承継M&Aの世界でも普及させたいと思っています」。

    ③中小企業特化型仲介会社 

    完全成功報酬型でリーズナブルなM&A支援を目指す、藤井一郎インテグループ代表取締役社長は言います。

    「(M&A)に関する問題は、すでに当社が問題解決に取り組んでいることではありますが、取引の不透明性ですね。ブラックボックスになっている方が、仲介会社は儲かるわけですが、依頼する側は躊躇する。透明性が高まると、もっと依頼は増えると思いますね。そもそもM&A仲介をビジネスとして考えると、仲介会社の収益の中身は、平たく言えば客単価×件数ということ。企業が儲けるためには、着手金や中間金等のキャッシュポイントを増やすか、件数を増やすかということになる。
     
    着手金や中間的なフィーを徴収する方向に行くと、どうしても職業倫理の問題が生じてきます。つまり、儲けるためには内心決まらないだろうと思っていても、営業をかけ中間的な稼働に対する費用を徴収するということが起こります。
     
    そこで、我々は着手金や中間的な顧客負担をゼロにする一方、引き受けた案件は、確実に成約できるよう尽力し、成約率を上げることを考えています。そのためには、取引の透明性を高め、安心して相談できるようにすることがまず重要なのです。完全成功報酬型は成功したときしか手数料は発生しないので、依頼主からすれば明朗ですね」。

     ④事業承継仲介中心

    M&Aを会社発展のためのプロジェクトと定義する、久保良介株式会社オンデック 代表の考えはこうです。

    「私はM&A仲介の本質は、プロデュースであり、プロジェクトマネジメントだと言っています。中立的な立場に立つと、買収側から見ても譲渡側から見ても、必ずしも当事者に同調するわけではありません。そうすると、あなたはどっちの味方なんだ?とよく言われますけどね。
     
    確かに、買収側に立ちすぎて買収価格を下げるということは、相手を低く見ていますよというメッセージにもなり、譲渡側としては良い気持ちにならない。また、譲渡側に立ちすぎると、高く企業価値を設定してしまい、そのあと会社が第三者から遡って訴訟されるなどのコスト負担要因がもし出てきた場合、高く買っているのだから譲渡側がコストは負担すべきといった話がでて、あとで揉めたりすることもあります。
     
    つまり、M&Aは単に仲介すればよいというのではありません。我々は、譲渡側、譲受側が共に参画するプロジェクトと考えており、譲渡側から譲受側に上手く引き継がれ、その企業が先々、発展していくことがもっとも重要なのです。そうしたときにお互いに信頼関係をもってプロジェクトを実施していけるようプロデュースしていくことがM&A仲介の骨幹なのです」。

    参考:売り手から見た事業承継の重要ポイントは何か?~業歴14年のM&Aアドバイザリー、株式会社オンデック 久保良介代表に聞く 

    M&Aに関する情報収集

    刻々と変化していくM&Aの動向をとらえたり、具体的な事例を学んでいくには、オウンドメディアが有効です。以下に、代表的なメディアを紹介します。

    ①M&A Online

    ストライクが運営する「M&A Online」は、M&A(企業の合併・買収)に関する情報を広く一般の方々に提供するメディアとなっています。今後ますます身近になってくるM&Aについて、正しい知識と最新ニュースを提供することを目指しています。

    ②M&A Journal

    かえでファイナンシャルアドバイザリー株式会社が運営する「M&A Journal」は、事業拡大や後継者不足に悩む経営者・企業オーナーの皆様をはじめ、より多くのユーザー様に役立つ情報やノウハウを発信し、国内No.1のM&A・事業承継メディアを目指しています。

    ③M&A to Z

    M&A to Z」はM&Aクラウドが運営するオウンドメディアです。バイアウト型の譲渡研究に役立つメディアとなっています。

    ④幻冬舎GOLD ONLINE

    幻冬舎GOLD ONLINE」は富裕層の資産防衛という触れ込みのメディアですが、事業承継の内容も含まれていて連載物が充実しています。この中で相続・事業承継カテゴリーがおすすめです。生々しい事例を研究されたい方はぜひご参照ください。

    まとめ

    以上見てきたように、M&Aの実相は多様であり、企業の戦略も支援企業の考え方も多様です。しかも、ここでご紹介できたのは全体のごく一部でしかありません。オープンイノベーションが進む時世でもあり、中小、ベンチャー企業にとっては、ますます柔軟な戦略オプションの選択が可能となってきました。したがって、M&Aの相談をする場合は単なるマッチングではなく、コンサルティング能力のある仲介会社や、アドバイザリー会社を選ぶ必要がありそうです。

    文:増山 弘之

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