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データドリブンとは何か?活用方法や事例を紹介

経営ハッカー編集部
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「データは21世紀の石油」と言われるように、人類の社会経済活動において、データの重要性が高まっています。ネットワークやセンサーなどのICTインフラや、AIテクノロジーの進化に伴い、取り扱うことができるデータの量、種類が加速度的に増大していること。そして、そのデータを活用すれば社会やビジネスが抱える課題を効果的に解決し、生産性を高めることへの期待が増しています。しかしながら、一方において、GAFAなどプラットフォーマーへの過度なデータ集中から、個人情報保護への動きも急速に強まっています。今回は、主にデータドリブンを経営に活用するという観点からまとめてみました。

目次

    データドリブンとは

    データドリブンが提唱されるようになった背景~OECDのデータドリブンイノベーション

    データドリブンという言葉はOECDが、2013年にデータドリブンイノベーションという考え方の中で提唱しています。OECDと経済産業省、総務省が共同で開催したグローバルフォーラム(2014年開催)の中で、データドリブンについて以下のような論点が提示されました。

    1.データ利活用の便益

    (1)ビッグデータのもたらす経済的便益は大きいとの実証があります。データの解析の威力によりデータ流通量が伸びれば企業の売上げも伸びる。また、機械学習によるデータ解析により、マーケティングだけではなくモノづくり等の産業におけるビッグデータによる経済効果がもたらされるエビデンスもそろってきました。
     
    (2)複雑な社会的課題への対応が可能。今後の自然災害等の災害への対応に向け、例えば東日本大震災時の事後分析に基づくビッグデータ分析の有効性が指摘されています。さらに、「生活の質の向上」や「人間の安全保障」にとってデータが役立つと言われています。

    2.データ利活用の課題

    (1)データの縦割り弊害の克服や、より幅広いデータアクセス、連携や 統合に向けた適切な条件の構築の必要性が課題として挙げられています。
     
    (2)データドリブン経済のための人材育成 データサイエンティストの需要と供給のギャップを指摘す る意見や、専門能力の開発及び教育の必要性が指摘されています。
     
    (3)データドリブン経済における信頼性の構築。ビッグデータの利活用においては、個々人からの信頼を確保することが不可欠であり、個人情報の収集及び利用においては、リスクベースアプローチが重要です。また、データをどのように分析しているのかアルゴリズムの透明化により、結論に至った主たる要素を消費者に説明することが重要という指摘もあります。

    3.データ利活用の裾野の拡大

    社会全体に広がるオープンデータの促進、公共データを活用した新たなサービスの創出や効率的な行政手続の実現に向けて、オープンデータの利活用推進が必要であるとOECDは指摘しています。

    データドリブンをビジネスに活用する視点

    経済産業省では、2014年に産学官の関係者が集う「データ駆動型(ドリブン)イノベーション創出戦略協議会」を立ち上げました。
     
    少子高齢化や人口減少に伴う労働投入のマイナス寄与等によって、中長期的な成長力の低下が懸念される我が国では、生産性を高めることが求められています。即ち、事業の効率化を進めること(プロセス・イノベーション)、及び、高付加価値の商品・サービスを生み出すこと(プロダクト・イノベーション)を通じて、新たな需要を喚起することが重要です。その際、IT・データは 極めて有益なツールとなるという認識のもと、官民一体となってデータ連携の仕組みなどの研究を行っています。

    データドリブンを政府の政策に活用する視点

    データドリブンについて、日本総研の主任研究員・野村敦子氏は、政府の政策決定において従来のように経験や勘に頼るのではなく、事象をデータとして定量的に把握し、エビデンスに基づき適切な課題解決や意思決定に繋げようとする動きの必要性を指摘しています。
     
    データの収集・活用が可能なインフラを整備された社会を「データドリブン社会」と言います。データドリブン社会では、様々な災害や医療福祉など社会的課題に対してデータを駆使して解決する、といった高度にデータを利活用する社会と言って良いでしょう。日本ではプライバシーの問題があり、データ収集が容易ではないですが、エストニアやシンガポールなど、データドリブン社会を構築するために取り組んでいる国は参考にすべきでしょう。
     
    参考:https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/jrireview/pdf/10767.pdf

    データドリブンによるCPSで社会全体の変革が可能となる

    次に、データドリブンが普及することによる社会全体の変革についてご説明します。ここ10年間に「デバイスの小型化や省電力化」「通信速度の高速化や通信費用の低コスト化」など、IT化が飛躍的に進歩しました。そのことが、実世界のあらゆる物がネットワークでつながるIoT化を可能にし、これまでデジタル化されることがなかった膨大なデータをインターネットに流通する「情報爆発」が起きました。そして、社会全体に流通するデータ量が急増し、様々な分野でビッグデータを利活用できるようになり、実世界とサイバー空間との相互連関(CPS)が生まれました。これにより、今後あらゆる分野でのデータの利活用が期待されています。

    社会全体がCPSにより変革される「データ駆動型社会」

    データドリブン経営とは

    データドリブンを自社の企業経営に活用にするのがデータドリブン経営です。経営におけるデータドリブンとは、企業に日々蓄積される様々なデータを収集し、分析を実施することによって、業務プロセスの革新や顧客エンゲージメントの強化、ビジネスモデルの変革を行うための手法と言えます。簡単に言うと、データドリブン経営は3つのステップで実行するものです。

    ステップ1:データ収集

    データ収集することがデータドリブンのスタート地点になります。構造化されていないデータを構造化し、データを整備していくことがまず必要となります。現状、タッチポイントをもっている場合は、POSシステムや顧客管理システム(CRM)などのツールを導入することがマストになるでしょう。撮影したレシートの画像を送るとお金がもらえるアプリ「ONE」など、その手法も様々なものがあり、「どのように収集するのか?」も吟味しなければいけません。また、製造業や物流業であれば、各種センサーを活用し、工場、倉庫における人の稼働状況などのデータが取れる仕組みを作ることも重要になります。
     
    その際、データを収集する上で「目的の明確化」は必要不可欠です。膨大なデータをただ収集しても市場のニーズや現場の課題を掴むことはできません。「何のためにデータを収集するのか?」についても事前に決めておかなければ、どれだけ良質なデータを集められても宝の持ち腐れになってしまいます。

    ステップ2:データの分析

    次に、収集されたデータを分析します。目的に合わせてデータを整理・分析しましょう。ちなみに、このステップは3つのステップの中で一番大変な作業になります。収集したデータをAIの機械学習を利用しても、求めている分析をしてくれません。膨大なデータから何かしらの傾向を読み解くためには、データサイエンティストやデータアナリストといった専門家に分析を依頼することも必要となります。

    ステップ3:改善、改革のための計画・実行

    データの分析が完了したら本来の目的とすり合わせ、改善、改革のためのプランを計画するステップに移ります。現在発生している問題を解決する計画もありますが、収集したデータの分析結果をもとに恒常的に経営改善につなげていく仕組みの構築する計画も重要となります。これら、計画を実行し、改善することでデータドリブン経営が実現していくのです。

    データドリブン経営とデジタルトランスフォーメーション

    データドリブンを、経営を変革する車のエンジンと例えるならば、デジタルトランスフォーメーションがその車となります。日常の経営においては、ERPなどで提供されているデジタルトランスフォーメーションのツールを活用すれば、より確実に早く前に進むデータドリブン経営が実現できると言えます。
     
    参考:https://keiei.freee.co.jp/articles/c0201803

    データドリブンマーケティングとは

    次に、データドリブン経営を行うにあたり、マーケティングに活用するデータドリブンマーケティングも押さえておきましょう。データドリブンマーケティングとは、「収集したデータを活用して適切な戦略やアプローチを計画し、それを実行に移すこと」を言います。主にビッグデータを対象にすることが、従来のマーケティングとは大きく異なる点と言えるでしょう。また、データドリブンマーケティングが注目されるようになった2つの要因についてもご紹介します。

    デジタル化の発展

    デジタル化が飛躍的に進歩したことにより、量・質ともに充実したデータを獲得できるようになりました。例えば、ECサイトでは、ページ内の滞在時間や利用者の視線など、より詳細な消費者の情報を得られるようになりました。一方、実店舗でも、表情認証システムや消費者の動線といった情報を収集することが可能になり、「どういう経緯で消費品の購入にいたったのか?」「なぜその商品は手に取られなかったのか?」という情報をより詳細に把握することができるようになりました。従来のような「勘」や「経験」といった説得力が曖昧な判断基準ではなく、得られたデータを活用して消費者に適切にアプローチを計画・実行することが、今後のスタンダードになりつつあります。

    消費者のニーズ・購入方法の多様化

    スマートフォンやSNSが普及したことで、消費者のライフスタイルが多様化し、時間や場所などの制約を受けずに必要な情報や商品、サービスを得ることが可能になりました。そのため、従来のアプローチでは消費者に刺さることが難しくなり、新たなマーケティング手法としてデータドリブンマーケティングが注目されるようになったのです。

    データドリブンの実践事例

    ここまでデータドリブンについて解説してきましたが、よりデータドリブンに関する理解を深めてもらうため、実際にデータドリブンを取り入れている国内の事例を紹介します。

    株式会社トライアルカンパニー

    小売業を展開する株式会社トライアルカンパニーは昨年、「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」をオープンしました。このスーパーでは店内に約700台のカメラを設置し、消費者の動きや商品棚などのデータを収集・分析することで、商品の配置などに活用しています。今現在、多くの小売店では“なんとなく”で商品を陳列していますが、将来的にはどこの小売店でも「なぜここにこの商品があるのか?」が明確になっていることでしょう。

    株式会社資生堂

    株式会社資生堂はデータ収集からプランの実行までを全てIT化した「Optune(オプチューン)」というサービスを2017年から展開しています。専用のアプリをダウンロードし、自分の肌を撮影すれば、肌のきめや毛穴の状態などを独自のアルゴリズムで測定してくれます。そして、専用のマシンがその日の肌のコンディションに合わせた、オーダーメイドの配合がされた化粧水と乳液を提供してくれるのです。

    株式会社東京商工リサーチ(以下 TSR)と株式会社JSOL(以下 JSOL)

    株式会社東京商工リサーチ(以下 TSR)と株式会社JSOL(以下 JSOL)は、2019年7月金融機関に向けたサービス提供における連携を目的とし共同研究を行うと発表しました。本共同研究ではTSRの保有する企業信用調査情報とJSOLのAI技術を活用し、企業単体の情報に加えて企業間の情報を分析することで、企業の成長・劣化の波及効果を明らかにするとしています。また金融機関に向けて、各社の保有する取引先企業の入出金情報にTSR企業信用調査情報を結合して分析する業況検知のサービスを構築するようです。これにより各金融機関は、企業間関係を踏まえた企業の成長・劣化をリアルタイムで予測可能となり、的確な与信判断ができるようになることを目指しています。

    データドリブンの課題

    データドリブン推進のネガティブ要因として、個人情報の扱いが重要となってきます。とくに、GAFAに個人情報が集中してしまったため、EUではGDPR(一般データ保護規則)を制定しました。2018年5月25日に施行された同規則はEUに拠点を持たない企業であっても、EUに在住する個人の情報を取り扱っていれば適用対象となる。個人データには名前や住所、電話番号などはもちろん、Webサイトを通じて取得したCookieやIPアドレスなども含まれるとされています。日本においても、 個人情報保護法の平成27(2015)年改正などが行われており、2014年当初の諸手を挙げて推進の方向から慎重に進めなければならない要素も出てきています。

    まとめ

    データドリブンが今後普及していくと、データを扱うことは仕事をする上で基本になるでしょう。データをただの数字の羅列として捉えるのではなく、そこから様々な仮設を創造するスキルも必然的に求められます。「数字はわからないから理系に任せれば良い」と面倒ごとから逃げてきた人も、そんな事を悠長に言っていられる時間は終わりを告げようとしています。

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