源泉徴収漏れがあったとき、どうすればよい?
源泉徴収漏れがあったとき、どうすればよい?
新年度を境に、総務・経理・人事担当者が変わったり、新しい取引先が増えたりする会社も多いのではないでしょうか。今回は、人事面で変更があったときに起こりやすい、源泉徴収漏れについての話題です。
源泉徴収とは何か、対象となる所得と算定方法については、次の記事をご覧ください。 【完全版】5分で理解できる源泉徴収の仕組みと全体像|経理・税務の基本知識 給与事務者必見!所得税の源泉徴収の計算方法丸わかり! 給与にかかる源泉徴収税額は、月次の給与額から社会保険料を控除した金額によって計算されます。昇給や社会保険料の変更があったにもかかわらず、変更前の税額のまま源泉徴収額を計算してしまう場合や、納付が遅延してしまう場合があります。
報酬については、そもそも源泉徴収対象の取引であることが認識されなかった結果、納付が遅延することが考えられます。
以上のようなケースは起こらないのがもちろん良いですが、今回は源泉徴収額の不足や納付が遅れた場合の対応について解説します。
1)源泉徴収漏れがあったときのペナルティ
原則として、源泉税の納付期限は源泉徴収を行った月の翌月10日までです(小規模事業者の納期の特例の承認を受けている場合は、7月10日と1月20日)。
これに遅れた場合、あるいは納付額が少なかった場合には、まずは速やかに納付をしましょう。その際、延滞税と不納付加算税が課されます。算定方法は以下の通りです。
●延滞税 納付期限の翌日から完納する日までの日数に応じ、次により計算した金額の合計額(①+②)になります。
納付期限より2ヶ月まで:「納付すべき税額」×「特定基準割合+1%(平成27年1月~平成28年12月は3.8%)」÷365日 2ヶ月から完納まで:「納付すべき税額」×「特例基準割合+7.3%(平成27年1月~平成28年12月は9.1%)」÷365日 国税庁HP 延滞税の計算方法 より
●不納付加算税 1日でも納付が遅延すると、遅延日数によらず課税されます。
・税務署からの指摘で納付した場合:「納付すべき金額」×「10%」 ・自主的に納付した場合:「納付すべき金額」×「5%」 ただし、直前1年に遅延実績がない場合は免除されます。
2)源泉徴収漏れがあった場合、従業員や取引先にどう対応する?
税務署には適正な税額を納付したとして、源泉徴収漏れがあった場合、給与を支払った従業員や、報酬を支払った相手先との間で不足額をどのように調整するかも問題となってきます。調整方法は2つあります。
・従業員等から不足分を回収する。 ・従業員等から不足分を回収せず、徴収不足となった部分は追加の給与とし、源泉徴収税額を算定し税務署へ納付する。
不足額を回収する場合、従業員等との関係に問題が生じる可能性があり、慎重に十分な説明を行う必要があります。また、月次で給与支給を行っている従業員からは、次回の給与より不足分を回収することはできますが、スポット的な報酬支払の場合、回収は難しいでしょう。
3)まとめ
源泉徴収漏れが起きた場合の対応は次の通りです。
1.税務署へ徴収不足額を速やかに納付する。 2.延滞税等のペナルティも納付する。 3.不足額の取り扱いについて、従業員等と調整する。
もちろん、源泉徴収漏れが起こらないような体制づくりがもっとも大事です。人の入れ替わりが多くなるこれからの時期、そのような体制づくりを心掛けていきましょう。