2018年08月10日(金)0ブックマーク

「クレジットカードは本当にあなたの経理業務を楽にしている?」会社の規模別 クレジットカードの運用方法

経営ハッカー編集部
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前編に引き続き、freee株式会社で経理業務を担当する高橋啓太のインタビューをお送りします。

前編では、従業員が10名以下の場合、クレジットカードでどのように経理業務が効率化されるかインタビューしました。

後編では、企業の成長と共に、クレジットカードの運用を「どのタイミングで」「どのように」変更しなければいけないのか、freeeの実例も交えながら掘り下げていきます。

従業員規模が増えながらも、それに合わせて社内の様々な運用を変更できていない。そんなお悩みを持つ経営者や経理担当者に必見のインタビューです!

前編はこちら


keiei.freee.co.jp 

目次

    経理業務が社長から経理担当者に。従業員が10名を超えた企業に必要な経理業務の運用変更とは

    f:id:ats_satomi-iwamoto:20180807110958p:plain

    ー高橋さんは従業員が約10名のときにfreeeに入社し、経理業務を担当していたと思います。事業の拡大とともに、freeeでのクレジットカードの使い方はどのように変化していきましたか?

    クレジットカードの運用は、社員が増えるにつれ、適切な運用方法が変わります。そのため、freeeでは社員が増えるとともに何回か運用を変更しました。具体的には、

    経理担当者が入社したタイミング(高橋がfreeeに入社したとき)
    内部統制を強化するタイミング

    にそれぞれクレジットカードの運用を変更しました。

    ーなぜ従業員10名のタイミングで経理担当者を雇用する企業が多いんでしょうか

    従業員が10名を超えると、社長が組織全体を見れなくなるからですね。それにより全社的に権限移譲を始める必要がでてきます。このタイミングで、社長が片手間で経理業務を行うには負担が大きくなりすぎるので、専任の担当者を置くケースが多いです。

    ー経理担当者を置くことで、今までとは何が変わってくるんでしょうか

    一番の変化は、情報の伝達コストが上がることです。

    社長が経理業務を行っている時は、必要なものは社長が判断して購入しているので、領収書を見れば取引内容が分かります。そのため「この領収書は何に使ったお金なのか」と他の人に聞く必要はありません。また、社長は自分で記帳を行うので、記帳に必要な領収書の貰い忘れや誤廃棄も少ないです。

    しかし経理担当者は、領収書を見ただけで取引内容を判断できないケースが出てきます。そのため「この領収書は何に使ったお金なのか」を提出者に確認する必要があります。さらに、領収書の提出者は記帳の必要がなくなるので、領収書の提出漏れが起こりやすくなります。その延長で、「領収書を受け取る必要は無い」という神話が生まれたりします(笑)

    ー経理業務を行うために情報の伝達コストがかかってくるんですね。クレジットカードに関する経理業務も同様ですか?

    はい。クレジットカードでも、経理担当者とカード利用者の間で情報の伝達コストがかかります。

    特に、領収書の提出漏れは、クレジットカード決済で起こりやすいですね。現金の場合は領収書と引き換えに立替え分が戻ってくるので、領収書の提出漏れは少ないですが、クレジットカード決済だと、提出の意識がどうしても薄くなります。そのため、このタイミングでクレジットカードの運用方法を変更したり、周知する必要性が出てきます。

    従業員が10名を超えたタイミングで必要な法人クレジットカードの運用方法

    f:id:ats_satomi-iwamoto:20180807111028p:plain

    ークレジットカードの運用は、具体的にどのように変えればよいでしょうか

    従業員が10名を超えたタイミングでは、経理が管理しやすい範囲にクレジットカードの利用を絞ることが大事です。

    例えば、クレジットカードを役員のみが利用できるようにし、従業員向けには経費精算の仕組みを整える方法があります。経費精算の仕組みを構築することはバックオフィス業務効率化につながります。経費精算は一見手間がかかるように思いますが、取引内容を把握できないと、結局確認のための情報の伝達コストがかさむことになります。

    他にも、クレジットカードを使う用途を絞ったり、従業員に貸し出す場合は用途を確認した上でカードを渡し、領収書とセットで返却してもらうなど、情報の伝達コストがかからないように運用ルールを整備することもポイントです。

    【会社の規模別 クレジットカードの利用範囲例】
    従業員数   カード利用者   カード管理方法   カード利用用途
    1-9名   カードが必要な従業員   社長が管理   管理者が把握できる
    範囲内では制限なし
    10-99名   カードが必要で
    ルール通り運用できる
    従業員
      経理担当者1名が管理   運用ルール*1に則った
    利用に限る
    100名以上   申請・承認フローを作り、
    承認を得た従業員
      経理部と役職者が連携し、
    承認フローを活用して管理
      事前承認を得た利用範囲内で
    カードを利用する

    *1…クレジットカードの利用に関するルールを策定・共有します


    ーちなみに、freeeではこのタイミングでどのように運用変更を行ったんですか

    freeeでは10名を超えたタイミングで、クレジットカードを経営陣のみが利用できるように方針を切り替え、クレジットカードの管理を社長から経理が行うよう変更しました。運用を変更したのは、全ての購買の利用用途を把握するのが難しくなったのが理由ですね。

    従業員が少ないときは、全員がクレジットカードを使える運用でも問題ないですが、いずれ管理の変更が必要なタイミングがある、ということは覚えておいてほしいです。

    ー運用変更にあたり、大変だったことはなんでしょうか

    大変だったのは社長との折衝です。運用変更の前は、当然ながらクレジットカードの決裁権は社長にありました。しかし、運用変更後は経理の人にひと声をかけないとクレジットカードが使えなくなったので、最初は違和感があったようです。

    クレジットカードの管理を任せることへの社長の違和感と、経理業務を円滑にしたいという経理の思いをすり合わせるのが難しかったですね。

    ークレジットカードの管理を経理に任されたことで、苦労されたことはありましたか。

    最初は社長の感覚がわからず苦労しました。大企業の経理出身だった為「無駄な経費は一切だめだ!」という価値観が強かったんですね。

    タクシー移動や食事代など、プライベートと事業の境目の判断が難しい支出が本当に多くて、「社長なのにけしからん!」なんて当時はよく思っていました(笑)。そういった考え方は多分伝わっていて、社長からは「こいつセンスない経理だな」と思われていた気がします。

    今では、カード運用も変わるように、投資も会社規模によって違うのは当然で、正当な投資だったと思っています。

    代表の佐々木のインタビュー(後編)でも権限委譲について触れていましたが、最終的には経理がクレジットカードを管理するための方法やお互いの考え方について共通認識を持てました。それからはスムーズに経理業務を行えるようになったので、この運用変更は行ってよかったと思っています。

    従業員数が急上昇。100名を超えた時に考えなければいけないこと

    ー次の運用変更のタイミングはいつでしたか

    社員が200名を超えたタイミングです。一時的に「カードは社長以外原則禁止」というルールを定めました。

    【会社の規模別 クレジットカードの利用範囲例】
    従業員数   カード利用者   カード管理方法   カード利用用途
    1-9名   カードが必要な従業員   社長が管理   管理者が把握できる
    範囲内では制限なし
    10-99名   カードが必要で
    ルール通り運用できる
    従業員
      経理担当者1名が管理   運用ルール*1に則った
    利用に限る
    100名以上   申請・承認フロー*1
    を作り承認を得た従業員
      経理部と役職者が連携し、
    承認フロー*2を活用して管理
      事前承認を得た利用範囲内で
    カードを利用する

    *1…カードを誰が・どんな用途で使うのか、カード利用開始の申請を上げるフローを構築します。
    *2…利用者がカード利用の明細を経費申請し、役職者と経理部がカード経費の承認ルールに則って承認・却下を行います。


    ーなぜこのタイミングで運用を変更したんでしょうか

    内部統制をより強化する必要性を感じたからですね。先ほどもお話したように、クレジットカードは規模が大きくなっても便利に使える場面もある一方、便利さがかえって不要な情報の伝達コストを生む原因にもなります。

    例えば、クレジットカードを利用できる役員の業務領域が広くなったが故に、使っていないサービスの料金を払い続けていることに気づかないなど、クレジットカードを適切に管理できていない状況に気づいたら、運用変更を再度考えるべきです。

    freeeでは当時「組織変更が多く、クレジットカード管理者を把握することが難しくなってきている」などといった課題があり、利用用途を後から把握するのが大変になってきたので、一時的に運用変更を行いました。

    ー具体的には、どういう形に運用を変更すれば良いのでしょうか

    「経理が管理できる範囲で利用を絞る」という大枠の考え方は同じですね。会社の成長と共にクレジットカードの管理は難しくなります。そのためfreeeで行ったように、一時的に社長のみに利用範囲を狭めたり、カード払いしかできないサービスに利用を絞ったりする運用が現実的だと思います。

    freeeでは、クレジットカード利用権限を一時的に社長に一本化したことで、クレジットカード周りの経理業務はかなり効率化できました。このルールのおかげで「分からない取引は社長に聞けば良い」と分かる形になったので、確認作業がだいぶ楽になったんですね。

    ー従業員数が三桁を超えるようになると、クレジットカードの使いにくさも出てくるんですね。

    というよりも、クレジットカードの利用状況をちゃんと把握しないまま拡大してはいけないということですね。

    freeeでは、カード利用できる人を増やす方向で運用変更を考えています。というのも、最近交際費・出張費などが必要になるメンバーが増えてたんですね。なので、従業員カードを配って立替の負担を減らすことを検討しています。

    現状の運用でカード利用できる人を増やしてしまうと、経理がお金の出入りを管理しきれないので、経理がカード決済の管理・把握を行える体制を構築しようとしています。具体的には、上の表に記載したように、①カード利用開始の申請・承認フローの構築、②カード経費の申請・承認フローの構築を行いました。

    事業の拡大と共にカードの利用を制限するだけでなく、その規模に合ったカードの活用方法を考えていきたいですね。

    ーぜひ、新しい運用が決まったらまた教えてください!

    まとめると

    • 従業員が増えるにつれ、現状の運用と合わない部分が出てくる
    • よって「運用変更が必要になるタイミング」をしっかりと見極めるのが大事

    です。そのタイミングに合わせてストレスなく移行を行うのが良いですね。

    逆に、10人以下の規模の会社や個人事業主にとって、クレジットカードの運用で難しいところは基本的にはありません。前編でお話したクレジットカードのメリットを一番享受しやすい規模なので、積極的にクレジットカードで業務を効率化してほしいですね。

    ー本日はありがとうございました!


    後編ではfreeeの実例を基に、会社の成長に合わせてクレジットカードとどう向き合っていくべきか、インタビューしました。

    思い立ったが吉日、ぜひこの機会に、クレジットカードを活用して経理業務を効率化してみてはいかがでしょうか?

    freeeカード

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