住民税の扶養控除とは?対象者となるための条件や控除額の計算例をご紹介
「扶養控除」とは、扶養家族がいる納税者の税負担を軽くするための仕組みです。
扶養控除が適用されるかどうかは、扶養する人の年齢や所得、生活費の財源などが深く関係しています。
「所得税」と「住民税」の扶養控除は同じように考えられがちですが、それぞれ扶養の対象となるための条件が異なります。
今回は、住民税に焦点を当てて解説していきます。
扶養控除によって税金が安くなる
扶養控除では、税率をかける前の納税者の所得から扶養人数に応じた扶養控除額を差し引くことによって課税所得額が低くなり、税金が安くなります。
“給与所得控除について、給与収入が850万円を超える場合の控除額を195万円に引き下げる。ただし、子育てや介護に配慮する観点から、23歳未満の扶養親族や特別障害者である扶養親族等を有する者等に負担増が生じないよう措置を講ずる。”
<引用元>財務省:平成30年度税制改正の大綱の概要
扶養控除の対象となる人
住民税の扶養控除の対象となるためには、以下の条件をすベてクリアする必要があります。
・16歳以上の親族であること(6等身内の血族および3親等内の姻族)
・納税者と同一生計であるであること
・年間の合計所得が38万円以下であること(給与所得者の場合は年間収入103万円以下)
「同一生計」とは、同居か別居かにかかわらず生活費の財源が同じという意味です。
つまり、別居している子に生活費を仕送りしている場合は同一生計とみなされますが、同居していても生活費を別にしている子であれば扶養の対象外になるということです。
16歳未満の子も扶養家族ですが、児童手当との兼ね合いにより扶養控除の対象からは外れています。
16歳という年齢については、前年の12月31日時点での年齢が適用されるので、住民税を支払う時点で16歳になっていたとしても、前年の12月31日の時点で15歳ならばその1年間はまだ扶養控除の対象外です。
" 扶養控除を適用するには、納税者に所得税法上の「控除対象扶養親族」となる親族がいなければなりません。"
<引用元>経営ハッカー:別居している家族でも大丈夫?扶養控除のポイント
住民税の扶養控除額
住民税の扶養控除額は、家族の年齢や同居の有無などによってそれぞれ金額が異なります。
16歳から18歳、23歳から69歳の一般の扶養対象扶養親族は33万円、19歳から22歳までの特定扶養親と70歳以上の老人扶養親族(同居老親等は45万円、70際以上の老人扶養親族(その他)は38万円です。
住民税の扶養控除額は所得税よりもやや少ないため、所得税はかからなくても住民税はかかるケースがあります。
また、その年の扶養状況が反映される所得税に対し、住民税の扶養控除は前年の扶養状況によって判断されます。
扶養控除なしの場合の住民税
所得金額が500万円で、扶養控除がある人と1人分の扶養控除がある人でそれぞれ住民税を計算してみましょう。
所得金額が500円で扶養控除ない人の場合は、(所得額500万円−基礎控除額33万円)×住民税率10%=住民税467,000円です。
扶養控除ありの場合の住民税
一般の扶養対象扶養親族1人分の扶養控除がある人の場合、(所得額500万円−基礎控除額33万円−扶養控除額33万円)×住民税率10%=住民税434,000円です。
住民税の税率は課税する自治体によっても異なりますが、上記の計算通りであれば、同じ500万円の所得額でも扶養控除なしの人と1人分の扶養控除ありの人では住民税が33,000円も異なります。
扶養人数分だけ生活費の負担が重くても、扶養控除が適用されれば税負担を軽くすることができます。
ここで気をつけなければならないのが、一緒に住んでいる人すべてが扶養控除の対象になるわけではないことです。
まとめ
給与所得者も確定申告者も住民税の計算は自分では行わないため、住民税が何を基準に計算され、いくらの税率がかかっているのかについてよく知らないという方は多いものです。
扶養に入るか入らないかのギリギリのところで迷っている場合、少しの収入の差で思いがけず扶養対象外となってしまうので、自分で住民税を計算する必要がないとしても基本は知っておくようにしましょう。
年末調整や確定申告で、所得税の生命保険料控除を受けている人は多いと思います。しかし、所得税だけでなく、住民税にも生命保険料控除があることをご存じでしょうか。
<引用元>経営ハッカー:住民税の生命保険料控除についてわかりやすく解説