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2015年08月31日(月)

マイナンバーの悪用・漏えいによる海外のトラブル事例まとめ

経営ハッカー編集部
マイナンバーの悪用・漏えいによる海外のトラブル事例まとめ

The word warning and mature businessman typing on keyboard against blue technology interface with binary code

マイナンバー制度(個人番号制度)がまもなく開始

昨今、ニュースなどで「マイナンバー制度」という言葉をよく耳にするようになりましたね。マイナンバー制度とは、国民一人一人にマイナンバー(12桁の個人番号)を割り当てることで、行政サービスの効率化を図ったり、国民の行政手続を簡素にしようというものです。2015年10月からマイナンバーが国民に通知され始め、2016年1月からはいよいよマイナンバー制度が適用されます。

しかし、すでにマイナンバー制度を導入している国では、様々なトラブルが発生しているようです。これらの問題は、私たちの近い将来にも決して無関係ではないかもしれません。今回は、マイナンバー制度が引き起こした海外でのトラブル事例を見ていきたいと思います。

<参考>今さら聞けないマイナンバー制度(番号制度)とは?重要ポイントまとめ

1)実際にあったマイナンバーの漏えいトラブル

お隣の韓国では数十年前から「住民登録番号制度」という制度が導入されており、住民登録番号によって個人を識別する仕組みができています。韓国では、行政機関だけではなく、民間企業においても個人の識別に住民登録番号を利用することができます。そのため、多くの機関が住民登録番号の管理に携わっており、その分漏えいリスクが高くなっているという問題点があります。

実際に起きた漏えいトラブルとして、2012年から2013年にかけてクレジットカード3社から顧客の住民登録番号が流出するという事故がありました。流出させた当事者は、クレジットカード会社のシステム構築に携わっていたセキュリティ会社の社員です。この社員が住民登録番号を含む顧客の個人情報をUSBメモリーにコピーして持ち出し、ブローカーに売却、さらにそのブローカーがマーケティング会社などに売却したというものです。

このような内部からの住民登録番号漏えい事故に他にも、外部からハッキングを受けることにより住民登録番号が流出するという事故も相次いでいます。住民登録番号の利用が広まり利便性が上がるほど、個人情報流出による犯罪リスクが高まることを示していると言えるでしょう。

日本でもマイナンバー導入によって住所等の個人情報が漏れてしまい悪用される可能性が考えられます。

<参考>税理士が語るマイナンバーのセキュリティ対策に必要な6つのこと

2)実際にあったマイナンバーのなりすましによるトラブル

先ほどは個人識別番号の漏えいトラブルについてご紹介しました。では、実際に漏えいした番号はどのように悪用されてしまうのでしょうか。

アメリカでは「社会保障番号」という制度が何十年にもわたって運用されていますが、これが日本でいうマイナンバー制度にあたります。しかし、アメリカでは社会保障番号を利用したなりすまし犯罪が横行し、深刻な社会問題となっているそうです。

2015年5月には、社会保障番号などの個人情報を入手した何者かが、本人になりすまして確定申告を行った結果、1万3千人分もの税の還付金がだまし取られたという事件が明らかになりました。この年に限らず、同様の事件は過去から後を絶ちません。このような犯罪の他にも、本人になりすまして銀行口座を開設したり、クレジットカードを作成したりするという犯罪が横行しています。

これらのなりすましによる犯罪は、被害にあってからもしばらくの間は本人が気付かないということがあります。そのため、気付いた時には莫大な金額の借金を抱えていたというケースもあります。このケースは日本でも十分考えられます。

3)どうすればマイナンバーによるトラブルのリスクを減らせるか

以下の2つを守るように心掛けておけば変なトラブルに巻き込まれるリスクを減らすことができます。

1. むやみにマイナンバーを人に教えない

マイナンバーは非常に大事な個人情報です。番号法では、マイナンバーを含む個人情報は「特定個人情報」と定義づけられており、通常の個人情報(マイナンバーなし)よりも厳格な取り扱い(提供・収集・保管の制限等)が要求されています。マイナンバーは、これまで扱ってきた個人情報(氏名、生年月日、住所など)と同様ではなく、特別な情報という認識を持つことが必要です。

2. 紛失したら直ちに市町村長に届け出、再交付の申請を行う

個人番号を紛失した場合には、住んでいる市町村長に対し、再交付申請書を提出することで再交付を求めることができます。

4)まとめ

これだけ恐ろしい事例があると、マイナンバー制度に対していいイメージは持たれないかもしれません。しかし、このような海外での悪用事例も踏まえ、日本はマイナンバー制度のしくみ作りに取り組んでいます。たとえば、民間企業が個人の識別にマイナンバーを使用することができないなど、アメリカや韓国よりもマイナンバーの適用範囲をぐっと絞っています。

そうはいっても、完全に安心できるというものはありませんよね。たとえば民間のサービスを受ける際は、不必要にマイナンバーの控えを取られていないか、個人識別にマイナンバーが利用されていないかなど、私たち個人個人としても注意して見ていく必要があるでしょう。

<参考> 個人事業主がマイナンバー導入で発生する業務と対策まとめ マイナンバーの本人確認をオンラインでやる方法を総務省に問い合わせてみた マイナンバーで職歴が会社にバレる!?従業員が導入前に知っておくべき点まとめ ーーーーーーー 経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから

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