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2015年07月27日(月)

医療費控除で住民税と所得税が安く!お得な医療費控除を徹底解説します

経営ハッカー編集部
医療費控除で住民税と所得税が安く!お得な医療費控除を徹底解説します

医療費控除 住民税

医療費控除をすると、住民税や所得税が安くなるのをご存知でしたか?医療費控除という言葉を聞いたことがある方も多いと思いますが、今回は医療費控除の仕組みと、医療費控除で住民税と所得税がどれだけ安くなるのか見て行きましょう。

1)医療費控除とは

医療費控除とは、1月から12月の1年間で一定以上の医療費を払った場合、確定申告によって所得税や住民税を低くすることができる制度です。

医療費控除の意義は、「担税力に応じた課税」です。所得税は担税力、つまり税金を負担できる能力に応じて課税されるべきとの考え方があります。所得が高くなるほど、所得税率が高くなるのもその一つです。

多額の医療費を払った場合、担税力は低くなると考えますので、その分税金を抑えましょう、ということになります。

医療費控除は確定申告が必要となります。個人事業主の場合は事業の確定申告時に一緒に行えますが、会社員の場合は年末調整では行えない手続きですので、別途確定申告が必要になります。

<参考> 確定申告の医療費控除期限とやり方完全ガイド【2015年版】

2)医療費控除の計算方法

医療費控除の計算を行う上で、1.対象となる医療費と、2.医療費控除額の2つがポイントになります。以下にそれぞれ見て行きましょう。

1. 対象となる医療費の要件

医療費控除の要件は以下の通りです。

  • 自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること
  • その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること

「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族」とは、簡単にいえば同じ家で生活している家族のことを指しています。ただし子どもに仕送りしている場合などは、その子どもは一緒に住んでいないとしても「生計を一に」しているとみなされます。

また控除の対象となる医療費は、保険診療の代金や市販の風邪薬、治療のためのマッサージ、分娩、それらを受けるために必要な通院費や医療用備品などが対象となります。

治療とは直接関係ないもの、たとえば健康増進目的のものや美容目的でかかった病院の診療費、市販の薬を購入したとしても、対象にはなりません。自己都合で払った差額ベッド代も医療費控除の対象にならないと国税庁ホームページにはっきり記載されています。

2. 医療費控除額

医療費控除額の計算式は以下の通りになります。

医療費控除額=1年間に支払った医療費-保険金などで補填される金額-10万円(年間所得が200万円以下の場合は所得金額×5%)

「保険金などで補填される金額」とは、例えば健康保険組合などから支給を受ける高額療養費や、出産育児一時金などを指しています。また年間所得が200万円以下の場合には10万円ではなく、(年間所得×5%)を差し引くことになるため注意が必要です。

それでは以下、具体的な数字で見て行きましょう。

<参考> 【確定申告】医療費控除の申告期限と還付金額の計算方法まとめ

所得500万円、医療費100万円、出産育児一時金42万円の場合

所得500万円で、一年間に医療費控除の対象となる医療費を100万円支払い、協会けんぽから出産育児一時金を42万円受け取ったとします。その場合の医療費控除額は以下の通り。

医療費100万円ー出産一時金42万円ー10万円=医療費控除48万円

医療費控除額は48万円となります。

所得100万円、医療費10万円の場合

所得100万円で一年間に医療費控除の対象となる医療費を10万円支払った場合、医療費控除の計算式は以下の通りになります。

医療費50万円-5万円(所得100万円×5%)=医療費控除45万円

医療費控除額は45万円になります。

また、医療費控除に関連した医療費の領収書は全て税務署に提出する必要がありますので、全て保管しておきましょう。

3)医療費控除、所得税額への影響

所得税計算は以下の流れになります。

  1. 所得計算(収入-支出)
  2. 課税所得計算(所得-所得控除)
  3. 税額計算(課税所得×税率)

所得税の計算上、医療費控除は2の「所得控除」の1つという扱いになります。所得控除を差し引いた課税所得に税率をかけて所得税を算出するわけですから、所得控除に税率をかけた分だけ、所得税が減ることになります。以下で計算例を見てみましょう。

課税所得が500万円、医療費控除額40万円の場合

課税所得が500万円の場合、所得税率は20%になます。したがって医療費控除による所得税の減税額は

医療費控除額40万円×所得税率20%=所得税減税額8万円

となり、所得税が8万円安くなる計算となります。

課税所得100万円、医療費控除45万円の場合

課税所得が100万円の場合、所得税率は5%になります。したがって医療費控除による所得税の減税額は

医療費控除額45万円×所得税率5%=所得税減税額2万2500円

となり、所得税が2万2500円安くなります。

年末調整のみ行っていた方は、医療費控除によって所得税が還付されることになります。過去の医療費控除をしていない場合、会社員の方は還付申告、事業者の方は更生の請求という手続きになります。時効は5年ですので、早めに行いましょう。

<参考> 【年末調整で医療費の控除は出来るの?】年末調整と医療費控除との関係の有無と注意点

4)医療費控除、住民税への影響

住民税には均等割と所得割があり、医療費控除の場合は所得割の方が関係してきます。住民税の所得割の計算方法は以下の通りです。

  1. 所得計算(収入-支出)
  2. 課税所得計算(所得-所得控除)
  3. 税額計算(課税所得×税率)

計算の流れは所得税と同じです。医療費控除は所得税と住民税で扱いが変わりませんので、控除額は所得税で用いたものをそのまま利用できます。住民税率は所得に関わらず一定(10%)ですので、医療費控除による住民税の減税額は医療費控除額の10%になります。

例えば、医療費控除額が40万円であれば、40万円×10%で4万円、医療費控除額が100万円であれば100万円×10%で10万円、住民税が減税されることとなります。

5)まとめ

以上が医療費控除の計算方法と税金への影響額です。医療費がかからないに越したことはありませんが、もし多額にかかることがあれば、医療費控除を受けるために、領収書を残らず保管しておきましょう。所得税と住民税を抑えるためには、確定申告をお忘れなく。

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