マイナンバー制度最大のデメリット!?金融資産課税について税理士が解説
マイナンバー制度によって、投資で得た配当金などを預金口座等から把握できるようになることで金融資産についても把握され、現在の所得に応じた税金・社会保険料等に金融資産も含めて考慮されることが考えられます。
今回はマイナンバーの導入によって金融資産への課税がどのように変わるか、神田 俊之 税理士に解説していただきました。
1)預金口座にも付番が必要に
平成27年3月に国会へ提出された番号法改正案には、預金口座へのマイナンバー付与が盛り込まれました。その内容は預金口座への付番は平成30年以降預金者に対して任意で個人番号を収集して口座番号を登録するものですが、平成33年以降は義務化も検討されます。
新規に口座を開設する際は申請用紙にマイナンバーを記入することとし、既存の口座については来店時に登録を勧める予定となっています。
口座へ個人番号が付与された場合、その情報がどのように利用されるかですが、まずは、金融機関が破綻した場合に預金保険制度に基づいて預金保険機構が行う債権額の把握に関する事務です。個人番号で名寄せすることにより正確に口座情報を把握することが可能となります。
〈参考〉マイナンバーが銀行預金口座に適用で私たちの生活はどう変わる?現状と今後を考察してみた
2)個人資産に対する監視が強まることも懸念
番号法の改正等により、預金口座へのマイナンバー付与は、生活保護の申請などの審査のための資力調査や相続税等の税務調査において金融資産を把握する場合などに利用されることが考えられます。
これによって、生活保護等の不正受給や仮名口座、借名口座の排除によって脱税資金のあぶり出し等ができるようになるかもしれません。このほかこれまでも議論されてきた金融資産に対する課税強化として、利子所得や配当所得などの把握に利用されることが考えられます。
3)利子所得と配当所得が総合課税に?
マイナンバー制度では投資で得た利益などを含めた収入を基準に社会保険料などを算出することが可能になることが考えられます。
マイナンバー制度で把握した資産の額を元にした税金でなくとも増税余地はあります。たとえば分離課税になっている株式等や証券の税制を総合課税にすることや、社会保障制度についても、年齢ではなく所得や資産等の経済力に基づいて負担を求める仕組みに変えていくことが可能になります。
富裕層を対象にした課税強化の実現には、マイナンバー制度を活用した金融及び固定資産情報の把握が必要となります。
4)まとめ
今回取り上げたように、一元管理されることによって、税金を多く払うことになる可能性がある方はぜひこの制度のことを覚えておくと良いと思います。
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