経理・財務2015年05月30日(土)
有形固定資産と無形固定資産の減価償却方法の違いをわかりやすく解説
資産の種類によって決められた減価償却ルールがある
固定資産を購入すると、貸借対照表に資産として一度計上し、減価償却という手続きをおこなうことになります。では減価償却とは何か、資産の種類ごとにどのような決まりがあるか、見ていきましょう。1)なぜ減価償却をするのか?
固定資産を購入した場合、少額のものを除き、購入した時に全てを費用とすることはしません。予め決められた年数で、少しずつ費用にしていくことになります。これは適正な「期間損益計算」をおこなうためです。 もともと会計とは、他人から財産を預かって運用する者が、財産の保有者に対する説明のために発達してきたものと言われています。諸説ありますが、古くはイタリアにて、商人に出資して航海させ、帰港した時点の財産を出資者で分け合っておしまいというシンプルなものでした。 現在は、ほとんどの企業は永遠に続くものという前提で経営されています。「継続企業の前提(ゴーイングコンサーン)」という考えです。そうなると、会計期間を一定の長さ、例えば一年と定めて区切る必要が出てきました。 自動車や複合機などの固定資産は、一度購入したら長く使用するものです。長い期間にわたって使用し、売上や利益に貢献するにも関わらず、購入した年に全て費用にすることは、毎年の正しい損益計算を歪めることになります。よって使用した期間に対応させて少しずつ費用にする、減価償却という手続きが必要となるのです。2)減価償却の方法
減価償却は、取得金額、償却開始日、耐用年数、減価償却の方法が基本的な情報となります。 取得金額は、資産を購入したり製作した時の金額に、登録免許税や工事費など、その資産を実際に使うために支出した金額(付随費用という)を合わせたものです。 償却開始日は、事業において本格使用を始めた日(事業の用に供した日という)です。 耐用年数とは、どれくらいの期間にわたって費用化するかという年数です。 償却の方法は定額法、定率法、級数法、生産高比例法などがありますが、実務的には定額法と定率法が主要な方法です。 〈参考〉 減価償却の基礎知識【定額法と定率法】 減価償却と償却率を徹底解説|経理・税務の基本知識3)資産の種類ごとの減価償却ルール
減価償却は、会計と税務で分けて考える必要があります。まず会計上の経費として減価償却費を計上する方法としては、定額法・定率法などを企業ごとに判断することになります。一方で税務上は、認められるものとそうでないものが法律で決められています。よって税務上の減価償却方法に会計を合わせるのが一般的です。 税務上の減価償却方法は以下です。 固定資産は、有形固定資産と無形固定資産に分けて考えます。1. 有形固定資産
税法上、建物の減価償却は定額法と決められています。また、リースで購入した資産は、定額法と定率法のほか、場合によっては、リース期間で均等に償却していく「リース期間定額法」が選択できます。土地や美術品、骨董品など価値が減少しないものは減価償却ができません。その他の有形の資産には、定額法か定率法を選択します。2. 無形固定資産
無形固定資産の場合は、定額法となります。 税法で認められない会計処理をした場合、税金計算の時に、認められた処理との差額を調整することになります。4)まとめ
減価償却の意味と、資産ごとの償却方法を見てきました。減価償却を面倒だと思っていた方もいるかもしれませんが、会計の近代化に合わせて、考え抜かれてできたルールによって行われているのです。注意すべきは、資産ごとに会計と税務の違いがある点です。処理を誤ると税務的に問題が残ってしまいますので、ご注意ください。経営ハッカーでは、記事制作にご協力いただける方を募集しております。 お申し込みはこちらから