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2016年03月29日(火)

法人税と所得税の違いを税理士がわかりやすく解説

経営ハッカー編集部
法人税と所得税の違いを税理士がわかりやすく解説

pixta_17991885_S (1) 2月中旬から3月中旬までCM等でよく「確定申告」という言葉を聞くかと思いますが、この「確定申告」は個人の所得税の申告を指しています。個人の所得税は一般的に前年1月1日から12月31日までの所得を計算し、2月16日から3月15日までの間に申告する手続きとなっています(還付申告を除く)。 一方で法人の法人税の申告については、一般的には事業年度終了から2か月後まで(例えば4月1日から3月31日の場合は5月末まで)となっています。決算時期を任意で決めることができるので、個人と異なって法人によって申告時期が異なります。このように、所得税(復興特別所得税を除く)と法人税には様々な違いがあります。今回は、その中でも主要なものを解説していきます。

1)税率の違い

所得税は超過累進税率で5%から45%の税率になっています。超過累進税率とは、所得が多い方ほど税率が高くなるもので、例えば、課税される所得が195万円以下の場合は5%で、195万円を超える課税所得がある場合は10%となります。つまり仮に、250万円の課税所得があった時195万円×5%+55万円×10%=152,500円が税金となります。

法人税は比例税率で、平成28年4月1日以後に開始する事業年度について23.4%、平成30年4月1日以後に開始する事業年度については23.2%となり、一定です。また、中小法人など一定の法人については800万円まで15%の軽減税率が適用されます。

【株式会社の所得に対する法人税率】 平成28年4月1日以後に開始する事業年度の場合  ・原則 … 23.4%  ・中小法人の軽減税率 … 所得のうち年800万円以下の部分に対しては15%               800万円を超える部分に対しては、原則通り23.4%

【中小法人とは?】 資本金の額又は出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないものを言います。 ただし、大企業の子会社など一定の法人は除きます。

つまり、中小法人でない法人で所得が250万円の場合、法人税額は、250万円×23.4%=585,000円の税金がかかる事になります。

2)所得・経費の範囲の違い

所得税では利子所得、配当所得、事業所得、給与所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得、退職所得、一時所得、雑所得の10個の所得に分かれて、その所得に応じて計算方法が異なります。例えば、事業所得を例に取ってみると、収入金額から必要経費を差し引いたものが所得となります。また、給与所得の様に給与所得控除と言った概算経費を使われる事もあります。所得税はこれらの所得を合計して上記の超過累進税率をかけて税金をかけますが、分離課税と言って他の所得とは別に超過累進税率ではなく15%などの定率で課税される所得もあります。

法人税については、益金から損金を差し引いたものが所得となります。厳密には異なりますが、簡単に言うと売上から売上原価と経費を差し引いた利益が所得になります(厳密には、会計と法人税法に差が出ているので、調整は必要になります)。

〈参考〉確定申告やり方ガイド 確定申告に関する疑問すべて解決 〈参考〉法人税・法人事業税・法人住民税の違いをわかりやすく解説|経理・税務の基本知識

3)赤字の場合の違い

これは所得税や法人税の様に国税の話ではなく、住民税の話なので地方税となりますが、所得税では赤字の場合は税金がかかりませんが、法人については最低7万円かかります。

4)所得控除の違い

所得税には上記の計算方法で計算した所得から個人的事情等を考慮して一定の所得控除が差し引かれます。よく聞くのは医療費控除だと思われます。1年間に一定の金額(多くの方は10万円)以上医療費を支払っている場合は、その一定額を超えた金額について最高200万円まで所得から差し引く制度です。今は女性の活躍を期待して、配偶者控除が議論に上がっているかと思います。また、どんな人でも基礎控除という38万円控除できる所得控除があります。上記の給与所得控除額が最低65万円です。この38万円と65万円を足していわゆる103万円の壁があります。住民税などを考えていくとそれ以外にも壁は存在しますが、一般的にはこれが壁となっている様です。

法人税は、個人的事情がないので、この様な所得控除は存在しません。

〈参考〉給与所得控除をわかりやすく解説 〈参考〉確定申告の医療費控除期限とやり方完全ガイド【2016年版】 〈参考〉「103万円の壁」って何? 配偶者控除と配偶者特別控除

5)青色の損失の場合の繰越控除の違い

青色申告をしている個人や法人については、損失が出た場合次年度の所得と相殺ができる制度、青色欠損金の繰越控除が認められています。法人は9年(平成30年4月1日より10年)の損失の繰越が認められていますが、個人については3年の損失の繰越しか認められていません。ただし、一定規模以上の法人については損失の繰越については繰越できる損失の額が限られています。

まとめ

法人税と所得税の違いを挙げていくとキリがありませんが、主なものが上記になります。 また、私自身新たに事業を起こそうと考えている方からよく質問を受けます。個人には個人のメリット・デメリット、法人には法人のメリット・デメリットがあります。また、青色申告承認申請など各届出書には期限があり、期限を過ぎると適用できなくなる規定も存在します。 これから事業を起こそうと考えている方は、できれば事業を起こす前に税理士に相談することをおすすめします。

〈参考〉税理士が語る法人成りのメリット・デメリットを活かした節税方法まとめ 〈参考〉青色申告承認申請書の提出期限をカレンダーにしてみた

大阪市西区の税理士・FP(ファイナンシャルプランナー)事務所、門田会計事務所です。 大阪・神戸・京都(関西圏)で起業や独立を考えている方は、まず最初に話の合うアドバイザーが重要な鍵となってきます。 当事務所の担当者は、2016年現在で36歳と若く特に20代~40代の起業を考えている方について話が合い、また税理士になってから10年以上経っており、経験も浅い訳では無いため一定の評価をいただいております。 もし大阪・神戸・京都(関西圏)で起業や独立を考えている方は、まずメールで一度ご相談下さい。また、相続対策等についても力を入れていますので、相続対策等を考えている方についても一度ご相談下さい。
事務所名:門田会計事務所

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