年末調整の前にチェックしておきたい13種類の控除一覧
会社員なら毎年年末になると聞こえてくるのが「年末調整」という言葉です。
毎年のことながら、久しぶりの手続きで毎回頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
年末調整の内容に誤りがあると、所得税や住民税の金額に狂いが生じてしまい厄介なことになります。
そこで今回は、年末調整の所得控除などについて詳しく解説していきます。
年末調整|給与所得者が知るべき年末調整を行なう理由と制度の概要
年末調整とは
所得がある人は所得税の申告を必ず行わなければなりませんが、すべての人が一度に申告するとなると税務署が対応しきれなくなります。
そこで、給与所得者については会社側が給与から差し引いた所得税を納付する「源泉徴収」が適用されます。
源泉徴収で差し引かれた所得税は月の概算なので、年間の所得税との差額が生じます。
そこで必要になるのが所得税を精算するための「年末調整」です。
年末調整の対象になる人
年末調整の対象者となるためには、以下の要件を満たしていなければなりません。
・「給与所得者の扶養控除等申告書」を年末調整を行う日までに提出している
・年間支払われる給与の総額が2,000万円以下
・災害減免法の規定により、その年の給与にかかる所得税の源泉徴収についての徴収猶予や還付を受けていない
要件を満たしていない給与所得者は確定申告を行う必要があります。
年末調整額は各種控除の額で決まる
年末調整で還付金があるかどうかは、控除が申請されているかどうかによります。
年末調整額の計算式は以下のとおりです。
((給与総額)-(各種控除)×税率)-(源泉徴収額)=年末調整額
最終的にかかる税金が50万円だとして、源泉徴収額が55万円だった場合、5万円が還付されるという計算です。
13種類の控除
年末調整で控除される13の控除は以下のとおりです。
1:給与所得控除
給与所得控除は、給与所得者の経費のようなものとして最低でも65万円の控除が適用され、給与の額に応じて変化します。
<参考>国税庁:給与所得控除
2:配偶者控除
配偶者控除は、納税者の所得が合計900万円以下の一般の控除対象配偶者は38万円、老人控除対象配偶者は48万円の控除が受けられるなど、納税者の年収と配偶者の年齢によって控除額が異なる控除です。
<参考>国税庁:配偶者控除
3:扶養控除
扶養控除は、納税者と同一家計の配偶者以外の扶養親族がいる場合に受けることができる控除で、条件応じて38万円から58万円の控除を受けることができます。
<参考>国税庁:扶養控除
4:基礎控除
基礎控除は、控除額は38万円がすべての人に適用されます。
<参考>国税庁:基礎控除
5:障害者控除
障害者控除は、納税者もしくは配偶者、扶養者の障害者1人につき27万円、特別障害者1人につき40万円、同居特別障害者1人につき75万円が控除されます。
<参考>国税庁:障害者控除
6:寡婦控除・寡夫控除
寡婦控除・寡夫控除は、離婚や死別した後に結婚をしていない人を対象とした控除で、一般の寡婦と寡夫で27万円、特別の寡婦で35万円の控除を受けることができます。
7:勤労学生控除
勤労学生控除は、納税者が勤労学生である場合に27万円の控除を受けることができます。
<参考>国税庁:勤労学生控除
8:配偶者特別控除
配偶者特別控除は、38万円以上の所得があるために配偶者控除を受けられない配偶者が、所得金額に応じて1万円から38万円まで受けられる控除です。
<参考>国税庁:配偶者特別控除
年末調整|配偶者特別控除申告書の計算方法まとめ【所得額・控除額の計算例付き】
9:社会保険料控除
社会保険料控除とは、納税者と同一家計の配偶者やその他親族の社会保険料を支払った場合に受けられる控除です。
<参考>国税庁:社会保険料控除
10:小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、確定拠出年金(iDeco)の掛金が控除になります。
<参考>国税庁:小規模企業共済掛金控除
11:生命保険料控除
生命保険料控除は、生命保険料や介護保険料、個人年金保険料の支払額に応じて受けられる控除です。
<参考>国税庁:生命保険料控除
生命保険料控除とは?書き方・計算方法まで徹底解説!計算例付き【年末調整】
12:地震保険料控除
地震保険料控除は、損害保険契約における地震保険料の掛金に対して最高5万円まで受けられる控除です。
<参考>国税庁:地震保険料控除
年末調整|地震保険料控除の計算方法を徹底解説!計算例3選付き
13:住宅借入金等特別控除
住宅借入金等特別控除は、住宅ローンの年末残高に応じて一定期間受けられる控除です。
<参考>国税庁:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
年末調整|住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の計算を記入例付きで徹底解説
控除の計算方法
年収450万円で独身のサラリーマンの場合の所得税は以下のように計算されます。
年収4,500,000円-給与所得控除1,340,000円-基礎控除380,000円=課税所得2,780,000円
課税所得2,780,000円×所得税率10%=278,000円
よって、所得税は「27万8,000円」となります。
各種控除を適用する場合は、基礎控除に続いてその他の控除額を差し引いて計算していきます。
まとめ
年末調整は節税のチャンスです。
ここでしっかりと申告しておくことで翌年の住民税も変わってくるので、受けられる控除はもれなく受けておきましょう。
“「年末調整」と聞くと、経理の方は「ああ忙しい季節になったな…」と感じ、従業員さんからすると「今年はどれだけ税金が戻るのかな?」とワクワクする季節かもしれません。”
<引用元>経営ハッカー:年末調整で苦労しないために、日ごろからできる節税のTIPS&ノウハウ
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